この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第13巻収録。今もって永遠の謎とされる「カティンの森大虐殺事件」と、戦時中にカティンの森に隠匿された財宝を題材とした一編。ニュールンベルグ軍事裁判で戦争犯罪の濡れ衣を着せられ、失意のうちに亡くなったルドウィッヒ。数十年後、娘・マレーネは、父に濡れ衣を着せた張本人が名士・ウェストクリフ卿だったことを知り、ゴルゴに抹殺を依頼する。脚本:岩沢克
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神経が通っていないと言わしめる男
本作はゴルゴをマシーンと言わしめる由来を深堀するエピソードである。ゴルゴの目の前で彼とは関係のない殺人が発生するのだが、周りの人間が驚き恐れている中、ゴルゴは「食事にしてもらおうか…」と言い放つのだ。周りの人間からも「神経が通っていないのか…!?」と言われる始末。
更には寝込みを襲われ、部屋から脱出した際も寝間着とは程遠い恰好をしているのを他の客から突っ込まれるなど、ゴルゴの機械(マシーン)としての姿に焦点を当てているのだ。『潜入ルート“G3”』『死の収穫』ではゴルゴの所持品や能力、由来等に焦点を当てている。合わせて読むことでより深くゴルゴを知ることが出来るだろう。
復讐に燃える女マレーネ
登場人物で注目したいのは自分の父を無実の罪で殺された女性・マレーネだ。殺人現場で冷静に振舞うゴルゴを見て殺し屋であることを看破し依頼を試みるなど、その接触方法も変わっている。最も印象的なのは父の仇をとるためにゴルゴに依頼をしようとする際、過去の愛人が乱入し殺害されてしまうショッキングなシーン。
死ぬ間際、最後の力を振り絞ってゴルゴにお金を渡そうとする姿は読者の胸を熱くすること間違いなしだ。金額を確かめようともせず黙ってそれを受け取るゴルゴにも感じ入ってほしい。死ぬ間際の依頼と言えば『ザ・スーパースター』でも似たようなシチュエーションで依頼を引き受けている。同じように感動できる作品なので、本作が心に響いた読者にはお勧めできる作品だ。
単なる復讐劇かと思いきや…
本作はゴルゴがマレーネの依頼を受けてターゲットを始末する作品と思いきや、そう単純な話ではないストーリー構成だ。ゴルゴがターゲットを追う際の宿泊先で突如起きる殺人事件。
財宝を追う謎の結社が登場するなど、ゴルゴの依頼とは明後日の方向に進みはじめる物語……。更には正体を明かしていないはずのゴルゴの命まで狙われ始め、先が読めない。ターゲットはどこに潜んでいるのか。謎の結社が探す財宝とは一体何なのか、ラストまで一気に読ませる作品であることは間違いない。
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小摩木 佑輔
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