この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第121巻収録。日本の放送の在り方に強い理想を掲げる若き官僚・前橋。彼は世界的メディア王のワールドロップによる、日本でのメディア独占を危惧していた。それはデジタル放送時代の主権を握りたいワールドロップによる、日本の地上波テレビ局乗っ取り計画だった。そんな折、前橋の恋人リンダがワールドロップの娘であることが発覚し……。脚本:ヘンリー等々力
スポンサーリンク
メディアからゴルゴへの挑戦
ゴルゴシリーズではゴルゴの存在を公にしようとした登場人物は何人もいる。『毛沢東の遺言』『静かなる草原』などに登場するジャーナリストのマンディ・ワシントン。『ミステリーの女王』での小説家マッジ・ペンローズ。『クロスアングル』ではカメラマンのビクター・ランスがゴルゴの狙撃場面を写そうとした。
本作ではテレビ番組の製作会社を経営するリンダ・フレッチャーがゴルゴへの依頼現場を撮影してしまう。本来はそれだけでゴルゴのターゲットになりそうなものだが、さすがにあの遠距離からの撮影ではゴルゴも気付かなかったのだろう。

テレビ放送が力を持っていた時代
本作が発表されたのは1997年。まだまだテレビ放送が力を持っていた時代だ。リンダと彼女の恋人である前橋がテレビ放送について熱く語り合う場面を読むと、理想の高さに感じ入るとともにどこか滑稽にも思ってしまうのは21世紀に生きているからだろう。
メディアの主役がインターネットに移りつつある現代を知ったら二人はどう感じるだろうか。なお、意気投合した二人はインドで出会ったその日の晩にベッドをともにしている。才色兼備のリンダをあっさりものにした前橋に「くたばれ」と思ってしまう男性読者は多いはず。そしてそれは叶えられる。
ゴルゴを写したテープの行方
ゴルゴに依頼があったことを知ったリンダと前橋だったが、ゴルゴのターゲットになったのは二人が想像したのとは別の人間だった。と言うか、読者の大半も二人と同様のことを考えたのではないだろうか。
そうしなかった理由は作中でも少し触れているが、根本的に依頼人となった日本の政治家ではそこまでの度胸はなさそうだ。ただし依頼時を撮影したテープはそのまま残っている。その行方は続編の『アンダーグラウンド オーバー・ザ・スカイ2』で明らかになる。ゴルゴがテープ見逃さなかったのは言うまでもないが、どんな行方になったのかはぜひ読んで欲しい。

この作品が読める書籍はこちら

研 修治

最新記事 by 研 修治 (全て見る)
- ゴルゴ13:第647話『コウモリ女』のみどころ - 2025年3月12日
- ゴルゴ13:第646話『医務官手帳』のみどころ - 2025年1月29日
- ゴルゴ13:第645話『破綻の先に』のみどころ - 2025年1月14日