この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第123巻収録。東洋テレビを裏切り新日本テレビと提携したワールドロップは、いよいよデジタル衛星放送事業に着手する。一方、リンダはゴルゴのマル秘映像を武器に、復讐の機会を虎視眈々と狙っていた。ところがワールドロップの敵対勢力によるリンダ暗殺計画が発覚。ワールドロップはゴルゴにリンダの警護を依頼することになる……。脚本:新井たかし
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前作から1年後の続編
タイトルで分かるように『オーバー・ザ・スカイ』の続編で、おそらくメインスタッフも同じ(武本サブローさんでしょうか)ため、2作を通して読むと分かりやすく、リンダなどメインキャラの顔が同じように描かれている点は安心感がある。
さらに『オーバー・ザ・スカイ』の初出は1997年1月、そして本作は1年後の1998年1月。作中ではリンダがゴルゴに狙撃された婚約者の墓参りをするシーンがあり、リンダの父であるワールドロップと部下との会話でそれが命日の墓参りであることも示されている。つまり時系列でも沿った2作品となっている。

リンダの始末を依頼する相手
ワールドロップの後継者と目されたリンダは、華僑系のライバル放送会社から命を狙われてしまう。そこで始末を依頼する男に注目だ。体格が良さそうなその男は、壁を背に立ち、さらに事件の背景を知らないと依頼を受けないと語られ、ローラータイプのライターを使うようにも描かれている。
男が、「わかった……引き受けよう」と言った時点で読者は「もうリンダも逃げられないな」と思っただろう。そこで大きな罠が用意されていることになる。それも読者相手に、だ。『円卓の騎士団』でも暗殺者をゴルゴと思わせる演出を用いている。読者も早飲み込みは禁物だ。
娘を思う親心はゴルゴに通じるか
リンダの身を案じたワールドロップはゴルゴに暗殺者の殺害を依頼し、ゴルゴはそれを完遂する。アメリカ人と思われるワールドロップが、芝生に土下座をしてまでゴルゴに依頼する場面はなかなか見ものだ。彼の懇願に応じたらしいゴルゴは、自身への依頼シーンを隠し撮りしたビデオこそ狙撃、破壊したもののリンダは見逃している。
ワールドロップは、「彼も“人間”だった」や「隠し事をしなかった事が……彼の……評価を受けたのだろう」と語っている。子供に甘いと言われるゴルゴだが、親子の情に訴えるのも1つの手かもしれない。

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研 修治

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