この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第76巻収録。ICPOは国際テロへの対抗措置として「テロリスト相殺作戦」を実行する。それは暗殺者同士を戦わせ、生き残った暗殺者をまた別の暗殺者と戦わせる一種のサバイバルゲームだった。次々と暗殺者を始末し連戦連勝を重ねる“血まみれのブリギッダ”へ、ついにゴルゴ暗殺の指令が下るが……。脚本:安達謙太郎
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テロリストの格付けリストが見てみたい
『ゴルゴ13』の世界には二流や三流の殺し屋も多数登場するが、そうした裏の世界のレベル感がはっきり描かれているのが今回のエピソードだ。
女殺し屋「血まみれブリギッダ」(この二つ名からして絶妙の二流感を醸し出していて大変面白い)を雇い、「テロリスト同士の相殺」を目論むインターポールだが、長官から次の彼女の相手はゴルゴと聞かされ「ミドル・レベルのテロリストともう少しぶつからせてからでも……」と心配する局員の発言が印象的。テロリストのランクがA級とかB級とか分類されているのかな、と考えるだけで楽しくなってくる。

長官の語る「ゴルゴ観」が必見
ゴルゴを「テロリスト」という言葉でくくることには違和感を覚える読者も多いと思われるが、それに関するインターポール長官の持論は必見だ。
「思想もなく無愛想に殺人を実行するゴルゴをテロリスト扱いしていいものか」という部下の問答に対し、長官はゴルゴを「確信的なテロリスト」と断じた上で、彼の「虚無」の本質は「地上のあらゆる価値と対立しようとする積極的な価値の否定」であると語る。勿論、これは一人の登場人物の私見であって、作品としての絶対の答えではないだろうが、深く考えさせられる言葉だ。皆さんのゴルゴ観はどうだろうか。
ゴルゴに興味津々だったブリギッダ
何かと見所の多い本話だが、中でも「主役」のブリギッダのキャラ立ちが素晴らしい。自信家の女性は総じて好色家であるというシリーズのお約束に漏れず、標的のゴルゴと自ら接触してベッドで一戦交えるという積極性を見せる彼女。
ゴルゴを倒す作戦にかこつけて、完全に個人的な好奇心を満たしにかかっている。作中で発する彼女のセリフもなかなかユニークだが、強い女ほどより強い男に抱かれたくなるものなのだろうか。最後はゴルゴとの直接対決であっさり殺されてしまう彼女だが、ひょっとすると本望だったかもしれない。

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東郷 嘉博

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