この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第151巻収録。特定の人間しかアクセスできないネット掲示板で、連続爆弾魔の次の標的が名古屋であることを知ったオタク少年・巧は、警察に努める伯父の協力で国際捜査班を動かすことに成功する。一方、爆弾魔から殺害予告をうけた被害者からの依頼でゴルゴも名古屋に姿を現す……。
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ミッションは卑劣な爆弾魔の犯行阻止
あらゆる犯罪の中で最も卑劣なのは、罪なき多くの人々を殺傷する爆弾事件だろう。しかも自爆ではなく自分は安全な場所で薄笑いを浮かべながらスイッチを押し、爆発の瞬間を見届ける人間は、もはや精神を病んでいると言っても良い。
今回はそんな爆弾魔の犯行を阻止すべく奔走する日本の警察と、彼らとは別ルートの依頼で爆弾魔の狙撃を実行するゴルゴの行動を並行させ、スリリングでスピード感あふれる展開となっている。犯行を予測した小畑の甥・巧がコンタクトを取った「幹園」という人物の正体は、爆弾はどこか、最後まで目が離せない。
サイバー空間には年齢・経験は無関係
「幹園」の名前の由来やその人物像には、納得しつつ笑わずにはいられない。しかし、自分の興味関心だけで動くオタクのおかげで犯行が予知できたのだから深く感謝しなければなるまい。小畑が「隠しサイト、パスワード」の意味がわからず「もう、そこから説明しなきゃならないの」と巧から説教を喰い、脂汗を流す場面が傑作である。
警察のサーバーをハッキングできるほどの能力を持つ巧だからこそ、サイバー空間で幹園と対等な関係を結ぶことができた。趣味の領域には性別・年齢などの属性はほぼ無意味であり、実社会で見習うべき点もある。
頼もしい未来のハイテク犯罪取締官
巧や幹園からの情報をきっかけに捜査を進めつつ様々な推理を巡らした小畑が、せっかくWAモータースに連絡したのに「我々は真のプロフェッショナルを起用した」と鼻で笑われてしまう。そして小畑が舌を巻いたようにゴルゴは会長が狙われる場所を既に特定し爆弾魔狙撃のお膳立てを整えていた。
爆弾魔の特定は、顔立ちや体型、隙のない動きや位置取りなどから、ゴルゴにとってはたやすいことだっただろう。小畑は今回の犯罪解決の立役者・巧君に金一封を授け、将来のハイテク犯罪取締担当として、今からスカウトしておく必要があるだろう。
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野原 圭
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