この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第20巻収録。大戦中に撃沈された潜水艦に積載されたままの金塊をめぐって対立する秘密結社“赤眉”の巡風頭と、貿易商の趙秀峰。趙秀峰は、ゴルゴに巡風頭を殺害せよとの依頼が舞い込んだことを知り、わざわざ巡風頭の居所をゴルゴに教える。巡風頭が消えれば利権は自分のものになるとの私欲から、ゴルゴを利用したのだった……。脚本:岩沢克
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標的の最後の願い「ゴルゴ返し」が炸裂!
本話は、依頼に関するゴルゴのスタンスが二つも明らかになる貴重なエピソードだ。まず、ゴルゴは同じ人物への殺害依頼を重複して受けることはしない。本話で「巡風頭を殺害してほしい」という趙秀峰の依頼をゴルゴが断っているのは、既に別口で同じ依頼を受けていたからだった。
そして、当の巡風頭と対峙したゴルゴは、彼から死に際の頼みとして趙秀峰の殺害を依頼され、これを引き受けている。ひとたびゴルゴに狙われたら逃れることはできないが、運良く大金を持って彼と対峙できれば「ゴルゴ返し」はできるのだ。あなたも覚えておこう(?)。
武術にとらわれないプロ VS 愉快な?敵
今回の見所は、武器を奪われ一室に監禁されながらも、監視役の三兄弟を巧みに挑発して対決に持ち込み、徒手空拳で叩きのめすゴルゴの雄姿だ。一撃で敵をノックダウンする打撃は空手のようにも見えるし、柔道さながらの一本背負いも豪快に繰り出している。
後の『チャイナ・タウン』では太極拳で達人と渡り合ってみせる彼だが、本来、武術の種類にとらわれず、何でも使いこなすのがプロだということだろう。それにしても、大人しく部屋の前で見張っていればいいものを、まんまと挑発に乗せられて素手でゴルゴに挑みかかる三兄弟が可笑しすぎる。
紋章で警告なんかしている時点で三流?
『ゴルゴ13』には、ゴルゴの他にも殺し屋と呼ばれる人物や組織が度々登場する。だが、その多くは、技量や姿勢においてゴルゴに遠く及ばない存在として描かれることが多い。本話のタイトルの「殺しの紋章 五爪竜」とは、本話に登場する組織「赤眉」が標的に送りつける殺害予告のメッセージ。
彼らは「五爪竜」の描かれたカードでゴルゴにも警告してみせるが、案の定、返り討ちに遭う。先述の三兄弟といい、紋章での警告といい、どうにも「お遊び」感が否めないこの組織。これでも普通の人には脅威なのだろうが、相手が悪すぎたというべきか。
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東郷 嘉博
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