この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第37巻収録。台湾派と中国派の抗争に揺れるチャイナタウン。市警のヤマシタ刑事は、この抗争を終わらせるためには両派の首領を同時に消すことが一番だと考えていた。一方、ゴルゴは台湾派の首領・パット張を殺害するため、台湾人武術家・周竜明を名乗りチャイナタウンに潜入する。脚本:外浦吾郎
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中国拳法アクション中心の異色エピソード
狙撃の名手であるゴルゴだが、銃器の扱いのみならず格闘術にも長けていることは有名。その片鱗をふんだんに味わえるのが今回のエピソードだ。本話ではゴルゴが太極拳の達人を装ってチャイナタウンの闇組織に潜入する。冒頭から終盤まで、幾度となく繰り出される彼のカンフーアクションは必見だ。
本物の太極拳の達人と互角以上の勝負を繰り広げる場面もあるが、単に格闘が強いというだけでなく、その道の専門家達の目を欺くレベルで特定の武術の達人を演じられるゴルゴの技量には脱帽の一言しかない。この男に出来ないことなどあるのだろうか。
そうは言っても最後は専門分野で決める
本エピソードでは終始一貫、鮮やかなカンフーアクションで敵対者を退けてきたゴルゴ。標的の殺害も徒手空拳で成し遂げ、今回は銃の出番はなしかと思われた最後の最後で、襲いかかってきた太極拳の好敵手をあっさり拳銃で片付けてしまう。
ゴルゴが最後に敵に掛けた「おまえのお遊びにつきあってやれなくて悪いが……おれは、こっちの方が専門なんでな……」という言葉が、彼のスタンスを物語っている。本物の達人と渡り合えるほどの武術の腕前も、彼にとっては依頼をこなすための道具の一つ。武術一筋の人間など彼には遊びにしか見えないのだ。
ゴルゴのバランス感覚も垣間見える一幕?
裏の世界のプロであるゴルゴといえど、時として警察などと持ちつ持たれつの関係を結ぶこともある。今回も二大組織のボスを同時に始末しなければならないと協力を求めてきた捜査官に、ゴルゴはすんなり応じる。さらに標的を片付けた直後には、わざわざ電話で連絡までしてやっている。
協力を拒んで抗争が起きたとしても彼にはもはや関係ないはずだが。要するにゴルゴとしても、積極的に平和を求めはしないまでも、無駄に秩序が破壊されることを望みもしないのだろう。彼のドライなバランス感覚が窺える一幕だ。
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東郷 嘉博
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