この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第93巻収録。1990年。イラク軍のクウェート侵攻によって、中東勢力と米国をはじめとする多国籍軍との緊張が高まっていた。米国はフセインが武力行使に踏み切ることはないと見ていたが、フセインはあくまで強気。CIAに調査させたところ、フセインは石油パニックを起こし得る強力な切り札を用意していることが発覚する。
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湾岸戦争時のオースルター
1991年の湾岸戦争が舞台となった本作。アメリカのレーガン大統領、ソ連のゴルバチョフ大統領、イラクのフセイン大統領、PLO(パレスチナ解放機構)のアラファト議長らが登場する。実質的にはアメリカ軍同然の多国籍軍が攻撃を仕掛けたのが期限切れから19時間後となった背後に、ゴルゴの暗躍があったとのストーリーだ。
刻々と時系列を追う中で当時日本の外務大臣だった中山太郎氏らしき人物も登場する。ただしアメリカ軍の武力行使の支持を伝えたところでレーガン大統領に中座されてしまう。日本が軽視された当時の情勢そのままの描写に見える。
人間には直接無害な細菌
本作には石油を分解することで燃料や原料として無価値にしてしまう微生物や、それをはるかに強化させた研究者が登場する。作中ほどのパワーではないものの石油を分解する微生物は実在するとのこと。
『赤い五月の使命』では炭疽菌が、『THE MOBS』では生物兵器になる細菌が登場しゴルゴに依頼がなされている。こうした細菌を活用しようとすると保管や輸送に細心の注意が必用になる。しかし人体には無害な細菌であれば輸送や散布もかなり容易になりそうだ。フセイン大統領、いやさいとう先生もなかなか面白いところに目を付けたものだ。
ルール破りの依頼を受ける
ゴルゴのルールに依頼者に直接会って話すと言うものがある。ただし必ずしもそれが守られているわけではなく『死仮面の館』では仕事の完遂後に本当の依頼人と出会っている。
本作ではアメリカの政府高官らしき人物が、「こういった依頼方法が、あなたのルールに反している事は、よくわかっています」との素直な物言いもあってか、ゴルゴは依頼を承諾している。ただしその後の予定については、「仕事を引き受けると言ったが、スケジュール管理を頼んだ覚えはない」と拒否している。引くところは引くが、そうでないところは突っぱねるゴルゴらしいやり方だ。
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研 修治
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