この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第119巻収録。ゴルゴと瓜二つのセールスマン、トニー・トウゴウが登場する爆笑エピソード。ゴルゴと依頼者の会見現場に偶然居合わせてしまったトニーが、ゴルゴと間違われて丁重な接待をうける。羽振りのいい客だと気を良くするトニーだったが、商談となると「狙撃」だの「ハチの巣」だの物騒な言葉が飛び交いだして……。
スポンサーリンク
シリーズ唯一の爆笑レア・エピソード
2021年9月現在、単行本発行数202巻を達成し、ギネス認定ともなった不朽の名作『ゴルゴ13』。主人公のクールなキャラクターに歩調を合わせるかのように、その作風はストイックでセンチメンタルなものが多い。
しかし連載半世紀以上の歴史の中で唯一、その伝統をおおきく踏み外した作品があることをご存知だろうか? シリーズ唯一の「ギャグ回」、それが今回ご紹介する『間違われた男』である。
最近では「ゴルゴ13 ギャグ回」なるキーワードでのネット検索が多いことから、読者の間でも話題となっていることが窺える。ストイックな人間ドラマに疲れたら、こんな作品で腹を抱えてみるのも、たまにはいいかも知れない。

現れたふたりの「Mr.トウゴウ」
今回の主人公はゴルゴに瓜二つの男、トニー・トウゴウだ。顔や背格好がそっくりなのはもちろん、名前まで同じ“トウゴウ”ときてる。このトニーが偶然、ゴルゴとその依頼人の会見現場に現れてしまったことから騒動がはじまる。
依頼人はトニーをゴルゴ本人だと思い込み丁重に迎える。「ミスター・トウゴウ」と声をかけても、名前まで同じなのだからバレようがない。一方、トニーは電動工具のセールスマン。依頼人を自分の商談相手と思い込むわけだ。
じつはゴルゴ本人も現場には到着しており、トニーと依頼人のやり取りを把握している。この場に介入せずにいたのは職業柄、当然のことながら、そのまま行かせてしまうあたりは、ゴルゴの茶目っ気が投影された珍場面といえなくもない。
天国から地獄。トニーの“長い一日”
投宿したホテルでは依頼人が用意した美女から、熱烈な接待をうけるトニー。至福のときを味わいながら、「俺はこの顧客を一生離さないぞ!」と心に誓う姿は愛嬌たっぷりだ。さらに「こんなに接待してくれて、元がとれるの?」と依頼人への気遣いも忘れない。他人を心配してる場合なのか、トニーっ!
状況が一転するのは翌朝だ。「標的はこの男です…」と依頼人から拳銃を手渡されたトニーは、ここで初めて自分はとんでもない人物と間違われたことに気付く……。
しかしこのトニーという男、拳銃片手に麻薬組織へ殴りこむのだから、活躍する世界は違えど修羅場は潜っていたらしい。彼の“男気”により、作品が見事に昇華していることは間違いないだろう。それはそうと、ゴルゴ本人はタダ働きだったかも知れないんですけどね。

この作品が読める書籍はこちら

町田 きのこ

最新記事 by 町田 きのこ (全て見る)
- ゴルゴ13:第360話『間違われた男』のみどころ - 2021年9月6日
- ゴルゴ13:第40話『マニトバ』のみどころ - 2020年4月1日
- ゴルゴ13:第274話『北の暗殺教官』のみどころ - 2020年3月20日