この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第188巻収録。新種の毒性生物の発見と採取に従事する生物学者のイートン。彼は新薬メーカーの陰謀により、ゴルゴの狙撃によって命を落とす。事故死で片付けられたことに納得がいかない娘のウルガは、FBIに勤務する恋人の協力でゴルゴと依頼者を特定、復讐を開始するが……。
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冒頭から瀕死のゴルゴ
冒頭3ページ、ひたすら瀕死状態のゴルゴが描かれる。ゴルゴでなければ、この登場人物は死ぬのではと思われる描写である。
矢毒ガエルのアルカロイド系の神経毒に冒されたためであるが、これは『独裁者の晩餐』でツェツェバエに刺されてウガンダの洞窟で重篤な状態に陥っているシーンよりも遥かに死に近づいている。
父の仇を討つべくゴルゴを的にかけたウルガは、ゴルゴを最も死に近づけた登場人物の一人。ウルガ自身はゴルゴを瀬戸際まで追いつめておきながらさぞや無念であろう。彼女はゴルゴ史に残る名好敵手である。
その男ドンガ(コスタリカのシャーマン)
ツェツェバエに刺された時は気を失って、ゴルゴは村の子供たちの煎じた薬草で救われた。今エピソードでは瀕死の状態にもかかわらず、窮地を脱するためにスイスからコスタリカまで自らジェット機移動。
そこまでしてゴルゴが頼ったのはシャーマン“ドンガ”。ゴルゴの状態を診て、矢毒ガエル(しかも複数)の毒であることまで的確に分析する能力の持ち主だ。その見た目と相まって、煙で燻す独特な解毒法がなにかと絵になる男である。解毒に成功したドンガに、
「また……あなたに……借りができたな」
とつぶやくゴルゴ。二人の過去に何があったのか気になるところ。ぜひ再登場を願いたいキャラクターである。
ゴルゴの感染症と矢毒ガエルの毒性
ゴルゴの感染症エピソードは、先に挙げた『独裁者の晩餐』(ツェツェバエ)、名作の呼び声高い『病原体・レベル4』(エボラ熱)、『亡者と死臭の大地』(サシチョウバエ)などを参照されたい。
なお、矢毒ガエルのアルカロイド系の神経毒のうち最も毒性の高い“バトラコトキシン”は青酸カリの千倍程度と言われる。
具体的には”ボトラコトキシン”1ミリグラムでゾウ2頭を、矢毒ガエル1匹の毒でネズミ1万匹を死に至らしめる猛毒であり、過去のエピソードに登場したものの中でも最強の毒性である。
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片山 恵右
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