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簡単なあらすじ
SPコミックス第111巻収録。マフィアの金庫番・アルシオーネを殺害したゴルゴ。この事件を境にゴルゴは謎の黒い封筒でアクセスしてくる人物につきまとわれる。手紙の文面からするとゴルゴの行動や情報網を熟知している何者かが推測されたが、その正体は意外な人物だった。ゴルゴが金品を受け取らず依頼を実行した珍しいエピソード。脚本:ながいみちのり
ゴルゴへの報酬はいくら?
ゴルゴに依頼する場合、いくら用意すればいいだろうか。作品によって報酬額はバラバラで、数十万ドルのこともあればゼロがもう1つ2つ加わることもある。また『国王ゴードインの依頼』では指輪が、『突然死の予兆』では有価証券が報酬となっている。さらに恩人からは無報酬で依頼を受けることもある。
ただし連載開始から1971年までは1ドル360円の固定相場だった。その後は円高が進み現代は100円そこそことなっているため、高低を比較するのは難しい面もある。ゴルゴが日本人とは限らないものの、「随分と円高になったなあ」と思っていそうだ。

ゴルゴを動かした少年の思い
高額な報酬を用意できない人がゴルゴに依頼したい場合どうするか。その答えの1つとなるのが本作だ。無念のうちに亡くなった父親の復讐を果たすべく少年が考えた方法は、少年にとっては最も残酷な手段だったと言える。
少年の気持ちを受け取ったのか、ゴルゴは狙撃を行う。ただしかつての狙撃を再現するだけなので、依頼内容としては簡単な方だろう。しかし無料どころか情報料などで実質的に持ち出しとなったのは事実。ゴルゴにとって自分がかかわった狙撃で、間接的ながらも誤解を生じたままにしておくことに違和感を覚えたと想像するのは考えすぎだろうか。
大幅な赤字でもゴルゴは動く
やや形は異なるものの『ガリンペイロ』でも遺言同然の依頼を受けている。こちらは妻や子供を殺された男からの訴えを一度は断ったゴルゴだったが、その場で息絶えた男の願いをかなえている。
男は宝石の原石らしき報酬を差し出しているものの、依頼を完遂したゴルゴの装備を考えればとても釣り合いが取れるとは思えない。父親の無念を晴らした少年にしても家族の復讐を果たした男にしても、命をかけて訴えることでゴルゴの気持ちを動かしたのだろうか。だとしても、そこまでしてゴルゴに依頼をしたいような目には合いたくないものだ。

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研 修治

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