この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第137巻収録。ロシアの特殊部隊「アルファ」のマレコフ大佐は、チェチェン武装集団を鎮圧すべくカフカーズの山中に潜入。そこでマレコフは親友だった元KGBのハガエフがゲリラのリーダーになっていることを知る。大義を無くしたロシアに背を向け、チェチェンに理想国家を作ろうとするハガエフに感化されていくマレコフだったが……。脚本:国分康一
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カフカーズとは……
カフカーズとは耳慣れない言葉(ロシア語)だが、日本で言う“コーカサス”のことだ。コーカサスとは黒海とカスピ海に挟まれた地域のことを指し、コーカサスの名を関したオオカブトムシやヨーグルトなどでも聞き覚えのある向きは多いはずだ。
他にも学生時代に真面目に地理を勉強したなら、コーカサス山脈を思い出すだろう。依頼を果たしたゴルゴがパラグライダーで脱出を果たすが、コーカサス山脈は5,000m級でパラグライダーをするには途轍もない高度である。垂直降下するだけのスカイダイビングにはない、気流上昇や水平移動の技術が求められることもあり、驚嘆である。

チェチェン独立
イゴールに「私が死ねばチェチェンの独立は遠のく」というセリフがある。今エピソードが描かれた頃から約20年を経ても、チェチェンはロシア連邦を構成する一共和国のまま独立は果たせていない。それどころかチェチェン=ならず者のテロリストという印象で独立にはほど遠い。特に2002年のモスクワ劇場占拠事件や2004年の北オセチアのベスラン学校占拠事件での印象が決定的だった。
両事件とも今エピソードに登場するアルファ(とヴィンペル)部隊によって制圧されている。なおチェチェンを舞台にしたエピソードに『ラストジハード 最後の聖戦』もあるので、ご一読あれ。
アルファ部隊とゴルゴの山岳戦
最強部隊アルファとゴルゴの対決となれば、生き詰まる対決を期待してしまうが、残念ながらアルファと言えども山岳戦のノウハウは蓄積していなかった。『白龍昇り立つ』で中国山岳部隊と7,000メートル級の雪山で死闘を繰り広げたゴルゴからすれば、不慣れな山岳戦でしかもわずか15人編成のアルファ部隊は赤子の手をひねるような簡単な相手であった。
イゴールがガシンスキーと裏で手を結ぶようなことなく、イゴールとマレコフによるチェチェン武装勢力とアルファの連合部隊とゴルゴとの対決になっていたらと無いものねだりを思わずにはいられない。

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片山 恵右

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