この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第182巻収録。アンデス山中で死後数十年経過した氷漬けの女性の死体とカメラが発見された。カメラに何が写っているかを、TVでライブ現像するという。このニュースを聞いた新聞社社主のラウルは愕然とする。カメラには、世間には公表できないある秘密が隠されていたのだった……。脚本:ながいみちのり
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人を人とも思わない私刑
本作には高所で飛行中のヘリコプターから突き落とす残酷な死刑(私刑)が登場する。これは第二次世界大戦中、ジュネーヴ条約があったにも関わらずアメリカ軍やオーストラリア軍が日本人捕虜に行っていたもので、チリのピノチェト政権下でも数百人、あるいはそれ以上が高所からアンデス山脈に突き落とされたとのこと。
そんな被害者の1人だった女性ジャーナリストの遺体が、彼女のカメラとともに見つかったことで事件が動き出す。なお、彼女のカメラはライカのM3かM2。1970年代なら経済が混乱したチリでも中古くらいは買えそうだ。
40年前のフィルムも現像可能
タイトル『甦る潜像』とはアンデスで氷漬けになっていたカメラに収まっている写真のこと。ピノチェト政権下でDINA(チリ秘密警察)の一員となって働き、現在は大手新聞社の社主となったラウル。自身が社会主義者に無法な弾圧を行っていた事実を証明する写真が現像可能と知って、カメラやフィルムの抹消に動き出す。
当時30歳とすれば、現在は70歳手前か。「昔取った杵柄、か」と苦笑しながらも、針金を使って鍵を開け、パーティから戻ってきたカメラマンの眉間を一発で撃ち抜く力量は見事。だが結果的に杞憂と分かるのは良くあるパターンだ。
2つの依頼が交差する時
『ビハインド・ザ・プレジデント』などで複数の依頼をこなすこともあるゴルゴ。元CIAで上院議員にもなったゴードンの依頼(カメラなどの処分)を遂行した後、2つ目の依頼でゴードンを殺している。
どちらの依頼が先か気になるが、「お前(ゴードン)が俺の標的になった」とゴルゴが言うことから、遂行した通りに依頼を受けたのだろう。カメラなどの処分をゴードンは、「君にとっては簡単な仕事だと思うよ」と言っていたが、後ろめたい事実あるゴードンを呼び出すのはもっと簡単だ。それでも「楽な仕事だった」とゴルゴが思うことはなさそうだ。
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研 修治
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