この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第43巻収録。敏腕私立探偵のエドは、婚約者を交通事故(ひき逃げ)で失ってしまう。ひき逃げ犯は特定できたが、その男はマフィアのボス・ジョージで一筋縄ではいかない。正攻法での立証は困難だと判断したエドは、ゴルゴの「命を狙われたら逃げられない」という評判を利用して一芝居うつのだが……。脚本:北鏡太
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ひき逃げをしても捕まらない理由
タイトルだけ見ると野球を思い浮かべる人が多いかもしれない。しかし“ひき逃げ”と添えられているのに加えて、冒頭のショッキングなひき逃げシーンから話が展開していく。ここで問題はひき逃げをした犯人がサンフランシスコにおける裏社会のボスであるジョージだったこと。
上級国民ってわけではないものの、目撃者もおらず一番の証拠となる車を早々に処分している。本作発表の1979年には現在日本にある「Nシステム」のような装置もないだろう。そうした状況に婚約者の女性をひき逃げされた元刑事である私立探偵エドはゴルゴを思い出す。
表に出ないゴルゴの狙撃事件
ゴルゴにジョージの暗殺を依頼したとの偽情報を流したエドは、恐怖に震えるジョージを自首に追い込んでいる。そんな敏腕刑事のエドが警察を辞めたのはゴルゴの狙撃事件でミスをしたためだ。
サンフランシスコが舞台の作品は1978年発表の『チャイナ・タウン』があるものの違いそうだ。ちょっと広げてカリフォルニア州では『カリフォルニア軍団』(1975年)、『殲滅』(1977年)、『アメリカの異邦人』(1978年)などがあるものの、サンフランシスコ市警の刑事であるエドが関わっているとは思いにくい。表に出ていない事件があるのだろう。
エドと情報屋の未来はどうなる
ゴルゴのルールの1つに「自分の偽物は許さない」がある。狙撃の手口をまねた『殺人マニュアル』のフランキーや、『ズドロナス・マリヨ』でゴルゴそっくりに整形した神父はゴルゴが射殺している。その一方で『ハワード・ヒューズ氏の息子』でゴルゴの仮面をかぶって暴行事件を起こした犯人は生きのびたようだ。
思えばゴルゴの名前を騙った事件は世界中で何件も起きているのではないだろうか。その全てをゴルゴが潰しているとは考えにくい。ゴルゴの怖さを知りつつも婚約者の敵討ちを果たしたエド。ゴルゴの目こぼしがあったと思いたい。
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研 修治
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