この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。ドライバーがハンドルを握らずとも車が主体的に判断を下すまでに進化した「自動運転システム」。大手保険会社の専務・グリードは、人身事故が避けられない状況に陥ったとき、「誰を轢いて誰を轢かないか」の判断をシステムに一任できるシステム開発を推進する。その裏にはある思惑が隠されていた… 脚本:平良隆久
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実現した自動運転
『鉄腕アトム』や『ドラえもん』など、かつての漫画では未来の技術とされていた自動運転。AI技術の発達により、ほぼ実現していると言ってよいだろう。しかし事故が起こった際の責任の所在については、いまだに不明瞭だ。本作の冒頭で、自動運転車に乗っていたドライバーの油断により死亡事故が発生。
自動運転のレベルが緊急時にドライバーが運転する必要が生じるレベル3だったことで、タイトルの「罠」となる。さらに巨額の保険金を支払い、かつ投資金を損なう可能性が生じた保険会社内で役員達の対立がゴルゴの出番へとつながっていく。

二重の依頼
『ラスト・ゴーギャン』『ドイツはひとつ』など、前例を挙げればいくつもあるように、特定のターゲットに複数の依頼があった場合には、後から来た依頼を断るのがゴルゴの流儀。本作でも「先約がある」「一つの仕事に複数の依頼は受けない」とすげなく断っている。
ただし厳密に言えば本作のターゲットが重なっているわけではない。若社長の未来を危惧する役員の依頼をこなすのであれば、意見が対立する役員を殺さないような解決方法はありそうだ。もっとも10年前の恨みの深い最初の依頼が成立している以上、血が流れるのは避けられないのだが。
ゴルゴの価値は?
自動運転車に搭載する顔認証システム、そこに世界屈指の保険会社が集めてきた個人情報を加えると、あらゆる人を一瞬で数値として選別可能な車が出来上がる。
作中ではシステム優位なレベル4の自動運転車で保険会社の役員が命の危機に陥るが、自分が強く推薦したシステムで命を落とすのであれば、役員会議で「喜んで死のう」とまで宣言した言葉に沿っているので後悔はないはず。気になるのは、このシステムでゴルゴを評価した場合だ。単独で世界情勢すらひっくり返す可能性のあるゴルゴに、どんな点数を付けるのか。無限大?それともマイナスか。
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2025年4月現在、単行本化はされていません。単行本化までしばらくお待ちください。

研 修治

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