この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第187巻収録。48時間ごとに貨幣価値が10分の1になるハイパー・インフレのジンバブエ。MDCのボネットは、インフレの元凶たる銀行総裁の暗殺をゴルゴに依頼する。しかし報酬の支払いはジンバブエ紙幣。明日には10分の1に下落するかもしれない紙幣でゴルゴは仕事を請けるのか……?
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ジンバブエ経済を救う一発の銃弾
タイトルから連想するのは、キュートでセクシーな若い女性が男を手玉にとる、という肩の凝らないB級ロマンスコメディーであるが、残念ながらその期待は裏切られる。アフリカを舞台にした作品には、リビアの内戦を描いた『顔のない男』、社会問題にメスを入れた『苦いチョコレート』などがあるが、今回はインフレという経済問題をゴルゴの銃弾が解決する。
インフレを「陽気な悪魔」と表現するのは言い得て妙であるが、札束がみるみる価値を失い、紙屑に限りなく近づいていく恐怖が迫ってくるようで、思わず金に投資しようかと考えてしまう。
依頼料は国際ロマンス詐欺並の札束
驚くべきはゴルゴへの依頼料である。通常スイス銀行への振り込み確認後にミッションを遂行するのだが、今回は特例中の特例である。ミッション後、依頼料の札束を目一杯積み込んだトラックで逃走したのは、後にも先にも今回だけだろう。
最近SNSを使った国際ロマンス詐欺が多発しているが、10億円プレゼントといって、一部本物の札をヨウ素で黒く加工して、化学反応で普通の札に戻して信用させ、残りはただの黒い紙を詰めたカバンを渡しておき、いろいろ口実をつけてはお金をだまし取るらしい。ゴルゴに通用しないことは言うまでもないが。
意外な結末にはゴルゴが関与したのか
今回の狙撃はゴルゴ的には「朝飯前」だが、医療関係者を最大限生かしたお膳立てや逃走劇が面白い。特にミッション遂行後、検問をどうかわすのか、どこでこれだけの量の札を換金するのか、日本の銀行にある紙幣計数機を100台くらい準備しても追いつくかどうか不安である。
そして依頼人ボネットの裁判だが、形だけの裁判で有罪になるのかと思いきや、有能な弁護士やドイツからの証人が現れ、意外な展開となる。これも後始末に関しても遺漏のない、ゴルゴの手配かもしれない。そうそう、ジンバブエを旅するときはマールボロをお忘れなく。
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野原 圭
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