この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第50巻収録。イタリアを旅行中だった日本人女性二人が誘拐された。犯人のRRA(ローマ共和国軍)は、日本政府に対して2億円の身代金を要求。日本側は身代金の用意はあるとするが、イタリア政府は身代金の支払いをしないように求めてきた。困った日本外事警察の土方警視正は極秘にゴルゴにコンタクトを取る……。脚本:北鏡太
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あまり上手くない?土方警視正のたとえ話
本話のタイトルの「ペルセポネ」はギリシャ神話の女神であり、冥界の神ハデスに連れ去られて無理やり妻にされてしまったことで有名。作中でも土方警視正がその逸話になぞらえて、ゴルゴに人質の女性達の救出を依頼するくだりがある。
しかしペルセポネはハデスから丁重な扱いを受け、後に心を開いて良き夫婦となっているため、テロリストに監禁され陵辱される本話の被害者達とはあまりイメージが重ならない気もする。ゴルゴは土方氏の話を黙って聞いていたが、内心、「このたとえ話はあまり上手くないな……」くらいに思っていたかもしれない?
バチカンの協力を巧みに引き出すゴルゴ
カトリックのお膝元イタリアを舞台に、人質救出の依頼を受けたゴルゴ。旧知らしきモンターレ司教を訪ね、バチカンを通じての情報収集を引き出す手際が見事だ。いざとなれば各地のカトリック教会を総動員させられるバチカンの組織網が、いかに強力であるかは他のエピソードでも度々描かれてきた通り。
今回も首尾よくテロリストの潜伏場所を突き止めることに成功している。それにしても人質の二人がカトリック系学校の出身であることを利用したり、合図に「賛美歌13番」を指定したりと、本話のゴルゴはいつにもまして洒落が利いている。
被害女性の驚くべき立ち直りに一同驚愕
本話で何より印象的だったのは、被害女性の一人・真弓がラストで驚くべき立ち直りを見せることだ。彼女は友人ともどもテロリストに何度も犯され、最後は銃口を突きつけられて盾にされた挙句、テロリストの頭をゴルゴが撃ち抜くのを間近に見てへたりこんでいる。
普通なら一生モノのトラウマになりそうだが、救出後の彼女はケロッとして旅行を続行すると言ってのけるのだ(一緒に被害に遭った友人も驚いているのが面白い)。139巻収録の『フィアレス』よろしく、彼女も死線を超えたことで恐れ知らずの人間になってしまったのだろうか……。
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東郷 嘉博
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