この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第30巻収録。イスラム世界の代表的秘密結社で、十字軍以来存続している暗殺教団「アサシン団」。同教団は古典的な暗殺方法に固執するあまり、ターゲットであるトルコ陸軍の近代的防備を切り崩せずにいた。教団の若手たちは外部から一流の暗殺者(ゴルゴ)を招き、最先端の暗殺術を吸収しようと提案する。
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オスマン帝国からトルコ共和国へ
中世に覇を誇ったオスマン帝国。第一次世界大戦の敗北でヨーロッパ諸国に占領された時期があったものの、1924年にトルコ共和国として独立を果たしている。
イスラム教の力が強い中東にあっては珍しい世俗国家ながら、近年ではイスラム教への揺り戻しが目立つ国だ。本作の発表は1976年。近代国家としての形こそ整ってきたものの、1980年には軍がクーデターを起こすなど、まだまだきな臭い時代。
作中ではタイトルになっているアサシン暗殺教団がトルコ陸軍参謀長を殺そうと試みて6回も失敗したことでゴルゴに出番が回ってくる。
ゴルゴの仕事におけるルール
依頼人であるアサシン暗殺教団のグルセルは参謀長の暗殺とともに現場の見学を希望した。わずかな沈黙の後、「おれの仕事は見世物じゃない」とあっさり断るゴルゴ。狙撃におけるゴルゴのルールを知っている読者からすれば当然だ。
とは言え、『臆病者に死を』『誰がそれを成し得たのか』などでは他人の目の前で狙撃することもある。本作ではグルセルが、「勝手に見学する」と条件を変更したことでゴルゴは依頼を引き受けただけでなく、遠目ながら現場を見せてもいる。間近で見せなかったのはアサシン暗殺教団を強敵とみなしたからだろうか。
ゴルゴの巻き添えになった人達
ゴルゴが身代わりに雇ったカメラマンは、騙されたと知った暗殺教団によって刺し殺されてしまう。彼がいくらで雇われたかは分からないものの、高いアルバイトとなってしまった。
もう1人可哀そうな目にあったのは飛行機内での少女。ゴルゴを“おじちゃん”と呼んだのは無理からぬものの、「もれそうなの、先に入っていい!?」と言ったところで、トイレに隠れていたグルセルに気づいたゴルゴによって押しのけられてしまう。
その後にゴルゴとグルセルの格闘現場を目の前で見ていたはずだが、“そそう”をしていないことを願うばかりだ。
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研 修治
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