この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第1巻収録。ともに囚われの身となっているKGBの女諜報員“幻のソーニャ”と、CIAの諜報員“勇者リーベック”がハンガリーの国境で交換されることになった。この交換劇に乗じて西側への亡命を目論む、ハンガリー秘密警察長官・クリューガーは、交換現場を混乱させる目的でKGB部長・キニスキーの暗殺をゴルゴに依頼する。しかし、この依頼には裏があり……。脚本:小池一雄
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ゴルゴの迫真の演技にシビれる
初期のゴルゴは変装への力の入れようもさながら役柄の演技力も気合が入っている。ひとつ前の『バラと狼の倒錯』では付け髭をつけて愛想よく振りまいているし、コネ作りのため握手すら交わしているのだ。
本作で大佐に扮するゴルゴも迫真の演技を披露してくれる。本作を読むことにより彼の一味違った魅力に気付かされること受け合いだ。また上記変装以外にもスキーでの超人的なハイジャンプ、絶体絶命の状態からの逆転劇、バイクで走行しながらの眉間を正確に撃ち抜く射撃術などゴルゴの見せ場が多い。彼が主人公としてバリバリ活躍する作品を読みたい方にお勧めしたい一品だ。
一癖も二癖もある登場人物達
本作の登場人物は多彩である。しかも癖の強い人物ばかりという共通点がある。硬い忠誠心から黙秘を続けるも、敵の計略により裏切りの既成事実を作られ、スパイ交換に協力するハメになる女スパイ・幻のソーニャ。同じくスパイ交換の対象となる“勇者”と呼ばれる男リーベック。
鋭い観察眼により変装したゴルゴを見破り窮地に追い込むセルゲイ少佐。そしてその窮地を救うゴルゴへの依頼主でもあるクリューガー長官。上記人物のほとんどが、初登場時の立ち位置からすると考えられないどんでん返しを決めてくるのだから、読んでる読者は退屈することがないだろう。誰が何をしでかすのか、じっくりと楽しみたい作品だ。
ブラディブリッジでの決戦
冒頭からスキーを楽しむゴルゴ……。たまにはゴルゴにも息抜きが必要かと思いきや、数ページで訪れる血生臭い展開にそんな思いもすぐに打ち砕かれる。本作のみどころは血生臭い場所、ブラディブリッジでの決戦に他ならないだろう。本作ではこのブラディブリッジでのスパイ交換を主軸に話が進んでいく。その場に張り巡らされた謀略がもはや常人の発想ではない。
謀略の渦によりブラディブリッジは敵味方入り乱れての戦場、まさに血塗られた橋へと変貌するストーリー展開は圧巻である。多彩な登場人物の中には今後の作品に再登場する人物も含まれており、他の作品を読む際に深みを持たせてくれる仕掛けとなっている。
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小摩木 佑輔
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