この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第165巻収録。装飾時計職人のミヒャエルが射殺された。事件を担当したジャヌー警部は、元時計職人としての経験を生かして捜査を開始。浮かび上がったのは、ミヒャエルが扱っていた時計はスイス時計でも最高級とされるトゥールビヨン仕様だということだった……。
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超一流は、腕時計も超一流
身につける小物の細部にまでこだわる、ゴルゴの凄味が描かれた本作。小物として取り上げられるのは腕時計だ。腕時計については、スパイ映画などでもギミックが施されている場面をよく目にするが、ややもすれば子供騙しと思えるものが多い。対してゴルゴの腕時計は子供騙しとは対極にある実用性の極致と言えるものだ。
武器としては、飛び出しナイフ、絞殺ワイヤーが仕込まれているに過ぎないが、小さな部品の精度や磁力線を防ぐためのプラチナを使用するなど素材にも並々ならぬこだわりを見せている。それらの必要性はジャヌー警部が見事に推理してくれる。
元時計職人ジャヌー警部の推理
超一流のプロが機械式時計にこだわる理由として熱帯の地、極寒の地、宇宙空間等での活動や、電磁波を浴びる状況を想定しているためだと、名刑事・ジャヌーが推理している。推理の正しさを証明するために、ゴルゴがそれらの場面で活躍したエピソードを紹介しておこう。熱帯や極寒などでの活躍はキリがないので、今回は各1例のみ。
熱帯の地は『スフィンクスの微笑み』、極寒の地は『氷結海峡』、北極は『アイスバーグカット』、南極は『極寒の大地』、宇宙空間は『一射一生』、そして電磁波は『15-34』だ。ぜひ一読されたい。
ゴルゴ御用達時計職人
本作について述べる時に、時計職人ハインツに触れないわけにはいかないだろう。登場シーンはわずかだが、ハインツあってこそ本作が成り立つという圧倒的な存在感が羨ましい。
「ブランド名や名声はいらない……この私ハインツだけが”彼”の特注時計を、作っている」というセリフや、ゴルゴのことは「私の最も信頼する友」と呼んでいることはもっと羨ましい。なお、ゴルゴのことを友と呼ぶ人物は他にも『ロックフォードの野望 謀略の死角』のローゼン・ザメックと『顔のない逃亡者』のコロラドがいる。ただし、どちらも馴れ馴れしくハインツほどの信頼関係がないのが見て取れる。
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片山 恵右
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