この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第56巻収録。サウジアラビアのマルーク大公から連絡を受けたゴルゴ。約束の場所へ到着したが、大公はすでに殺害されていた。不思議なことに大公が銃を握っていたにもかかわらず、死因は銃撃によるものではなかった。そこには王族同士の対立といった問題が隠されていたのだが……。脚本:きむらはじめ
スポンサーリンク
珍しく怯えている?ゴルゴの表情に注目
今ではすっかり無表情がトレードマークとなったゴルゴだが、連載初期には僅かに人間らしい表情を覗かせることもあった。その珍しい例の一つが、本話で焼け石による拷問を前に、怯えとも焦りともつかない絶妙な表情を見せている一コマ。
それ以前から鞭打ちに顔を歪めてはいるのだが、焼け石を前にした一コマは、顔面を伝う汗の描き込みがマンガ的表現の汗のようにも見え、ファンなら必見である。もっとも、この場面ではゴルゴの下半身は自由なので、彼が本気を出せば、敵を蹴りの一発で昏倒させて難を逃れることは容易かったかもしれないが。
巨大な鷲と戦うゴルゴの壮絶アクション
ゴルゴの依頼人・マルーク大公は、砂漠の真ん中で奇妙な傷を負って殺されていた。大公を殺した犯人は誰か? そしてその手段は? そのヒントは本話のタイトルにあった。
「KING OF BIRDS(鳥の王)」とは、人の背丈ほどもある獰猛なワシ「バークート」(本編ラストに説明あり)のことで、そのカギ爪こそが大公に致命傷を与えた凶器だったのだ。終盤、身一つでこの大鷲に立ち向かうゴルゴ。別の話では戦車や軍船とさえ渡り合ってみせた彼だが、武器すらもない状況からいかにして逆転するのか、ぜひその目で確かめてみてほしい。
本話限りの「日系英国人」の肩書き
ちなみに、本話でゴルゴが名乗っている仮の身分は「日系英国人アーネスト・トウゴウ」。数多くの偽名を使い分ける彼だが、日系英国人という肩書きを使っているのはこのエピソードだけである。
皆さんもご存知の通り、ゴルゴの出身・血縁は「東洋系」ということ以外全くの不明で、日本人、日本とロシアの混血、日本とユダヤの混血など様々な説が考察されている。それにしても、なぜ今回に限って彼が「日系英国人」を名乗ったのかはよくわからない。マルーク大公が彼に依頼しようとしていた内容も不明のままだし、謎の多いエピソードである。
この作品が読める書籍はこちら
東郷 嘉博
最新記事 by 東郷 嘉博 (全て見る)
- ゴルゴ13:第536話『神の鉄槌』のみどころ - 2024年9月19日
- ゴルゴ13:第552話『受難の帰日』のみどころ - 2024年9月19日
- ゴルゴ13:第535話『森と湖の国の銃』のみどころ - 2024年9月19日