この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第6巻収録。ゴルゴの持病がはじめて発症するエピソード。ある晩、尾行を感じたゴルゴは銃を抜き臨戦態勢に入ろうとするが、右手が痺れて銃を落としてしまう。診察を受けたところ医師はギランバレー症候群を疑うが、女医のマリーだけは遺伝的な一種のアレルギー症状だと言い放つのだった……。
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花売りの少女に微笑むゴルゴ
『力は我々にあり』『ドローン革命』などでわずかに笑うゴルゴ。本作でゴルゴは少女を相手に笑顔を見せている。深夜の街角。右手に異常を感じているゴルゴが背後の気配を察して振り返ると、立っていたのは10歳にも満たなそうな花売りの少女。ゴルゴは求めに応じて花を買いつつ、病院の場所を尋ねている。
少女は病院の場所を教えた後、「おじさんが病気だなんて思えないわ」と付け加えたところでゴルゴが微笑むのだ。少女にすら過敏になる自分、彼女の無邪気な物言い、ひそかに右手に抱えた異常が重なったことで、自嘲的な笑みを浮かべさせたようだ。
右手がしびれる原因は精神的なもの?
その後もたびたび登場する右手の異常の原因を始めて深く探ったのが本作だ。医学的な検査結果では原因不明だったこともあり、立ち会った女性の精神科医は、「ストレスとか幼児体験とか、精神的、心理的起因によるもの」ではないかと推測している。
ただし、それを追求するためゴルゴを自宅に招いた後、コーヒーに薬物を入れたのは失敗だった。カップを口にすらつけないままにゴルゴは、「LSDやメスカリン入りは口に合わない」と断っている(メスカリンは幻覚剤の一種)。コーヒーから立ち上る匂いだけで異常を感じ取ったのだろうか。
ゴルゴが狙撃に絞った理由
ゴルゴを付け狙うド・バビエール伯爵から、3年前のゴルゴによる暗殺事件が語られる。なんとゴルゴは毒ガスを部屋に投げ込んで、飛び出してきたフランスCRS(保安局長)のクロード・ベルマンを射殺したとのこと。
一緒に食事をしていて巻き添えになった伯爵は2か月もの間苦しんだだけでなく失明してしまったそうだ。ゴルゴは何も答えていないが、驚いた表情をしているようにも見える。当初は様々な殺しの手法を取っていたゴルゴだが、最近では遠距離のスナイプが多い。本作を経て、なるべく巻き添えを生まないようにと自省しているのかもしれない。
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研 修治
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