この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第18巻収録。イギリスの宇宙生理学の権威・フレミング博士の娘アニーは、博士の呼び出しでインドにやってきた。しかしアニーをみた博士は「呼んでいない」と動揺しはじめる。じつはフレミング博士はイギリスの国家機密をもって亡命する目的で、KGBの工作員と行動を共にしていたのだった……。脚本:K・元美津
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汗が滲み出てくるような酷暑の描写が圧巻
タイトルが示す通り、今回は酷暑のインドが舞台。インドの熱波が他国人にとっていかに過酷であるかが、全編を通してこれでもかと強調されている。まだまだ初期の作品だけあって、登場人物の会話が妙に説明口調でオカシイところもあるが、それを差し置いても、とにかく絵という絵から伝わってくる暑さの表現が凄い。
今回は残念ながら(?)ゴルゴ自身の濡れ場はないが、かわりに博士の助手が現地人らしき女性と一戦交えているシーンがある。博士が訪ねてきたので行為を中断し、服を着て出ていく彼だが……さぞ汗だくで大変だったことだろう。
ゴルゴが敬語でしゃべる貴重なシーンも
世界各地の言語を自在に使いこなすゴルゴ。今回はイギリス人の博士らに対し、「イギリス人同様きれいな英語」を流暢に話して博士を感心させている。なお、その会話シーンでは、ゴルゴの台詞が敬語で書かれている(きっちりしたイギリス英語を話している表現か)。
正体を隠す必要があったとはいえ、彼が丁寧な言葉を使うのは非常に珍しい。そうかと思えば、別の場面でのゴルゴは、刃物を突きつけて脅してくる敵に対して「のど笛だけは残しておけよ……しゃべれなくなる……」と真顔で軽口を叩いている。彼の言語センスの幅広さが味わえる一編だ。
土着の衣装で酷暑をしのぐサバイバル術
さて、先述の通り、本話最大の強敵はインドの熱波。さしものゴルゴも身体の頑健さだけでこの酷暑を耐え忍ぶことは不可能と思われるが、そこはやはり、環境への適応に長けたサバイバルの達人。
ゴルゴは日差しから頭部を守るインド土着の服装に身を包み、日陰に潜んで直射日光を避けることで、砂漠で有利な位置を取ってソ連工作員達を見事に撃退している。過酷な気候のもとを生き抜いてきたインド人の土着の知恵も凄いが、それを最大限に活用してみせるゴルゴのスキルも凄い。生き延びる工夫を欠かさないことこそ彼のプロたるゆえんなのだ。
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東郷 嘉博
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