この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第31巻収録。映画の都・ハリウッドでは、米マフィアと仏マフィアの対立が拮抗していた。ところが亡くなった大富豪ハワード・ヒューズの莫大な遺産を、米マフィアの息のかかった俳優が相続することになったため勢力図に異変が起こる。遺産を渡したくない仏マフィアは、ゴルゴを雇い俳優抹殺に動くが……。脚本:外浦吾郎
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ゴルゴ逮捕に燃える名脇役・ハモンド警部
二大マフィアとロス市警の三つ巴の争いが描かれる本話。中でも今回最も光っているキャラは、ロス市警のハモンド警部ではないだろうか。
ゴルゴを「強姦魔」に仕立て上げて行動を妨害しようとするマフィアの策を、警部は「彼ほどの大物がケチな強姦魔をやるはずがない」と看破してみせる。そして、マフィアの動きを睨みながらゴルゴ逮捕に熱意を燃やし、最後はゴルゴの逃走ルートを見抜いて彼と対峙するのだ。結局、ゴルゴの方が一枚上手で検挙は叶わなかったが、ラストで去りゆく彼を見送る警部の悔しい表情は実に印象的な余韻を残していた。
俳優業に真剣すぎた?チャーリーの悲劇
本話でゴルゴの標的となるチャーリーは、売り出し中の若手俳優。あと数日で莫大な遺産を相続できるという彼だが、俳優業には真剣のようで、こうした状況でも張り切って撮影に臨んでいる。
彼の味方のマフィアもマフィアで、ゴルゴが彼を狙っていると知りながら、相続が確定するまで彼を隠しておこうといった発想にならず、普通に撮影現場に行かせているのが少しマヌケだ。「撮影どころじゃなくない?」と言いたくなるのは私だけだろうか?もっとも、ひとたびゴルゴに狙われた以上、どこに隠れようと彼の運命は同じだったに違いないが……。
前代未聞の珍事!ゴルゴの狙撃が映画に?
本話のクライマックスでは、西部劇の映画の撮影に合わせ、見事なゴルゴのスナイプが炸裂する。ラストを見る限り、その映画はそのままチャーリーの遺作として劇場公開された模様。
つまり、ゴルゴ自身の姿は映っていないとはいえ、彼の狙撃によって標的が死亡するシーンがフィルムに収められ、公開されてしまったという前代未聞の出来事だ。映画といえば、直前の30巻収録の『配役〈キャスティング〉』で、ゴルゴの狙撃の瞬間を映画に収めようとする陰謀が描かれていた。あちらでゴルゴに抹殺されたスタッフ達も、本話で少しは浮かばれただろうか?
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東郷 嘉博
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