この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第125巻収録。事実上、ヒスパニック系の犯罪組織「R」に支配されているモハーベ刑務所。しかし、Rの首領は顔を見たものがおらず、その存在は謎とされていた。この謎の首領の始末を依頼されたゴルゴは、同じく受刑者に扮して潜入捜査をしていたFBI捜査官レイモンドと協力し、見えない敵を追い詰めていく……。脚本:国分康一
スポンサーリンク
塀の中の出来事は誰にもわからない
日本に民間と共同運営の刑務所があるのをご存じだろうか。栃木の喜連川社会復帰センターは初犯で刑期10年以下の受刑者が収容され、政治家・鈴木宗男氏や賭博に会社の資金を使い込み、背任で有罪となった大王製紙の井川意高氏が収監されていた。
井川氏は勉強する時間ができてデトックスできたと語っているが、このモハーベ刑務所はそんな暢気な場所ではなく、殺人が起きても公然と見過ごされる。そんな場所へ単身、受刑者として乗り込むゴルゴの意図は一体何か。その肩には、移民社会・アメリカの歪みが生んだ暴力組織の壊滅がかかっている。
以外においしい?日本の刑務所の食事
井川氏は刑務所が民営化されると利益をだすために食事がまずくなるとも言っているが、荒畑寒村は獄中で食べたアクで真っ黒のゴボウ汁の味が忘れられず妻にリクエストしたものの「違う。この味ではない。お前も一度監獄に入ってこい」といい「馬鹿」と一喝されている。
高齢者中心の刑務所では食事は細かくされ食べやすくなっているところもあるらしい。先進国と言われている国でも公営の老人施設は毎回トーストとインスタントコンソメスープという話もあるから、これなら日本の刑務所の方が栄養価やバリエーションに富んでいるかもしれない。
人は見えないものを最も恐れる
神、悪魔、亡霊、これら見えないもののイメージは人それぞれであり、だからこそ不気味で恐れられる。「ボス」も、声だけで姿をみせないことにより効果的にカリスマ化して恐怖を煽っていた。妻子を殺されたレイモンドの執念により、ミッションを達成するゴルゴだが「軽蔑しないのか」というレイモンドに対し「俺には関係ない」という。
ゴルゴの差別・偏見のない言動に、地獄のような思いを耐えていたレイモンドも救われただろう。砂漠をコンパスなしで歩くと多くの人間は元の地点に戻るという。そんなことを連想させる驚きの結末だった。
この作品が読める書籍はこちら
野原 圭
最新記事 by 野原 圭 (全て見る)
- ゴルゴ13:増刊第100話『獣の爪を折れ』のみどころ - 2024年8月18日
- ゴルゴ13:第485話『欲望の輪廻転生』のみどころ - 2024年7月30日
- ゴルゴ13:第520話『未病』のみどころ - 2024年7月29日