この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第156巻収録。香港の秘密結社の首領だった張は、部下の裏切りで失脚した上、愛する妻を殺されてしまう。報復のためゴルゴを雇った張だが、彼の余命があと僅かであったため、裏切った部下3名を一週間以内に始末しなければならないハードな依頼だった……。脚本:麦丘健二
スポンサーリンク
ゴルゴは超多忙なビジネスマン
3/7とは、不思議なタイトルである。3月7日か7分の3かと思ったが、何と7日以内に、別々の国に住む3人の男を片づけなければならないという超過密スケジュールの話であった。香港での依頼から、準備も含め、タイ、日本、タイ、香港、タイ、とここまで目の回るような忙しさはどんなビジネスマンも経験がないのではないか。
かなりハードなスケジュールだが、ゴルゴは死の床にある者の依頼には無理をしても応える傾向があり、さらに今回は、単なる欲得ずくの依頼ではなく、依頼人を陥れた男達への報復という事情も承諾の要因といえよう。
一粒で三つの味が楽しめる
本作では、遠距離狙撃、至近距離の狙撃、そして銃を使わない接近戦3つのバリエーションのゴルゴが楽しめる。遠距離狙撃での「日本マンションのの3DKは奥行きがない」というゴルゴのセリフが、日本の住宅事情を象徴していて少々哀しい。
至近距離狙撃では「俺がここまでたどりついた以上、お前を守る者はもういない」とターゲットに引導を渡す場面が最高だ。最後は、この依頼のために何度も訪れ、入念な仕込みをしたタイでの仕事で、ゴルゴの格闘技スタイルと炸裂する必殺技を堪能し、後にも先にも今回だけという珍しい場面を目にする。
最後の仕上げは仕掛人・藤枝梅安
衆人環視の中、一体どうやって秘密裏にターゲットの呉をしとめるのかと思ったら、驚くべき場所に武器を隠していた。そして仕掛人・藤枝梅安よろしく、鮮やかな手並みで始末をつける。人間の急所「盆の窪」の解説があったが、ここを冷やし続けると体が弱って病み衰えてしまうという。
人の命はあっけないものだ。クナーウットは思わぬ大金を手にしたが、こうして賭博の裏側をみれば、カジノなども含め、賭事は所詮、胴元が損をしないように仕組まれていることがわかる。近頃耳にするオンラインカジノも事情は似たり寄ったりではなかろうか。
この作品が読める書籍はこちら
野原 圭
最新記事 by 野原 圭 (全て見る)
- ゴルゴ13:増刊第100話『獣の爪を折れ』のみどころ - 2024年8月18日
- ゴルゴ13:第485話『欲望の輪廻転生』のみどころ - 2024年7月30日
- ゴルゴ13:第520話『未病』のみどころ - 2024年7月29日