この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第122巻収録。イラクに建設中のアム・シャラーダム。このダムの衛星写真が対イラク調査団のコックスに持ち込まれた。なんとダムの側面部に巨大砲の砲身が隠されていたのだった。しかも、弾道を計算したところ、標的はアメリカのホワイト・ハウスで…。
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恐るべき究極のアナログ兵器
自分は誰より優れている。自分以外はみんなバカ、夢を実現するためには何をしても許される。残念ながら世の中にはこういう危険な人間がいる。そんな人物がハイテク機器では捕捉できないアナログ兵器を作ってしまう。嘘は大きい方が現実味があるというが砲身をダム建設のための鋼管と偽るとはスケールが大きい。
ゴルゴに接触した女性エージェントの「純粋すぎる憧れは一歩間違うと悪夢になりかねない。特に現実という免疫を持たない者には」という言葉は、若者の興味関心を枯れさせることなく、健全な方向へ導くための重要な鍵を握っている。
愚かな奴はどちらだ
高校2年生の村井が野球をしている人間達を横目に「愚かな奴らや。俺やったらあらゆる放物線を理論的に解析してみんなホームランにできるのに」とせせら笑っているが村井はおそらく野球をしたことがないのだろう。
机上の空論とはこのことだ。理論的には可能でも、動くボールを理論通りバットに当てられないから、多くのプロ野球選手は苦労しているのである。バットにボールを当てられるかさえ疑問である村井には到底無理だろう。東京ドームは人間の打ったボールは天井に当たらない計算だったが、実際には天井直撃は日常茶飯事となっている。
プロは常に不測の事態を想定する
自信満々、傲岸不遜という言葉を体現しているような村井だが、巨大砲発射直後打って変わって半泣きの顔になるところは胸がすく思いがする。生物化学兵器を搭載した巨大砲が自爆後の周辺状況など知りたくないが、村井が無事であったとしても、むち打ちか銃殺という末路をたどり、2度と巨大砲は作れないだろう。
ゴルゴは『硝子の要塞』同様の方法を使って狙撃を試みるが、そのタイミングをアメリカの政治的理由により指定される。しかし実際にはそれを守ってはいない。不測の事態を救われたアメリカはまた彼に大きな借りを作ったことになる。
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野原 圭
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