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簡単なあらすじ
SPコミックス第94巻収録。アンコールワットでは盗掘組織による被害が拡大。遺跡の保護活動をするモーア博士は、盗掘集団に資金を提供している黒幕が貿易商のチョウであることを突き止める。博士はチョウをあぶり出すため、独自に囮捜査を決行するも失敗。事態を重く見た国際連合教育科学文化機関は、チョウの暗殺をゴルゴに依頼する。
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学問への冒涜がテーマ
ゴルゴシリーズでは政治や経済とともに美術や芸術の分野がテーマになっている作品も多い。『モナリザの弾痕』『贋作工房』『ラスト・ゴーギャン』では絵画が、『戦場に漁る者』や本作『アンコールの微笑』では古美術品がテーマになっている。
バブル景気の華やかなりし頃に世界各地で美術品や芸術品を買いあさる日本人がいたように、本作でも中年の恰幅のよい日本人コレクターが登場する。富士山のふもとに建てられた彼の自宅(別荘かも)地下には広大なコレクションルームがあり、いかにもな作品を多数飾っている。
懐かしきバブル景気
そこにカンボジアのアンコール・ワットから発掘、いや正確には盗掘した女神像を据え付けるための台座を先に用意してるのは滑稽と言うより他にない。本作の初出は1991年。
バブルが崩壊したといえどもまだ勢いのあった当時ならともかく、約30年後の現代であればそうしたピエロ的な役割を担うのは中国人かどこかのIT長者になっていそうだ。
真のターゲット。その正体は……?
本作でゴルゴのターゲットとなるのは二人。片方は依頼時から正体が判明しており、ともにガードが固い建物に立てこもることでいちじるしく困難と思われた狙撃だったが、ゴルゴの超人的なスナイプテクニックであっけなく死亡する。
問題はもう片方のターゲットだ。読者であればストーリーの初めからほぼ確実視できる人物がいるのだが、関係者には物語の終盤までターゲットの正体が分からないまま話が進んでいく。
しかし鋭い洞察力でターゲットを確定したゴルゴは、こちらはよりあっさりと狙撃してしまう。最後の最後でターゲットの正体を知った依頼者は悲劇的な関係に涙するのだが、ゴルゴにとってはいつも通り「おれには関係ない」事柄に違いない。
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研 修治
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