この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第121巻収録。聖遺物の贋作を作りバチカンを混乱させようと目論んだため、ゴルゴの銃弾に倒れた天才贋作家・ネッセル。5年後、彼の愛弟子であるロゼッタが新たに聖遺物の贋作を制作し、美術界とバチカンへの復讐へと動き出した。しかし、あまりに出来の良すぎる贋作に対し、ネッセルがまだ生きているのではないかとの噂がたち……。
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依頼人の条件に忠実な仕事
本作の最初に5年前のゴルゴの仕事っぷりを描いている。フランス沖の孤島近くにパラシュート降下したゴルゴは、贋作家のネッセルが手にしたビンと彼が作り上げた女神像を狙撃・破壊することで、ネッセルを失明させただけでなく、両手も動かせなくしている。
その後に描かれたシーンで依頼者となっていたテアヌス司祭から、「贋作者としての作家生命を絶っていただきたい」と依頼したことが分かる。『ルート95』でもターゲットの腕を狙撃するにとどめているが、例えばネッセルを屋敷ごと爆破していれば、今回の復讐劇は生まれなかったとも言える。
正義の味方となるゴルゴ
ゴルゴシリースでも遺跡や遺物に関するスナイプはいくつもある。『戦場に漁る者』では古代メソポタミア文明の出土品を守る立場に、『アンコールの微笑』ではカンボジアの窃盗団を壊滅させる役目を担っている。
本作でゴルゴはキリストの聖遺物を作った贋作家の殺害を依頼されるのだが、同じ殺しの依頼であっても、正義の側につくゴルゴは頼もしく思える。もっとも『ラスト・ゴーギャン』では依頼に応じてあっさりと名画を修復不可能なまでに破壊している。依頼を遂行することが全てのゴルゴにとって、対象の真価など意味のないものなのだろう。
ゴルゴに勝つ確率は98.99%
『生存確率0.13%』に登場する数学者のラマムはゴルゴ殺害の成功確率を0.13%と計算した。ネッセルの弟子で引き続き贋作を手がけるロゼッタもMIT(マサチューセッツ工科大学)に所属していた天才数学者だ。
そんな彼は、「この私がコンピュータを駆使して、奴のスナイプを阻止しようというんだよ」と言いきった後に勝算は98.99%だと微笑んでいる。つまり逆に考えれば、ゴルゴが狙撃に成功する確率は1.01%となる。ラマムの0.13%にすら及ばないのでは、ゴルゴにとっては赤子の手をひねるより簡単だったのかもしれない。
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研 修治
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