この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第165巻収録。トレーダーのリチャードは、スーダンの内戦で父母を惨殺された過去がある。リチャードは故郷であるダルフールの大量虐殺を防ぎ、首謀者に復讐を果たすための資金を投資犯罪で作っていた。親友フレッドはそんなリチャードの暴走を止めようとするが……。
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ゴルゴ13ならではのバットエンドで幕
ゴルゴの依頼者には様々な事情を抱えた人間が出てくるが、ゴルゴに仕事を頼んだことで悲惨な最期を迎えた依頼者も少なくない。『南仏海岸』『最後の間諜 -虫-』に登場しゴルゴの資産管理も請け負っていた銀行家のドワイト・グリンヒルは、『国王に死を』で依頼の完了を確認した後に責任を感じて自殺する。本作の依頼人であるリチャード・ドーソンも復讐を遂げるために親友を自らの手で殺した上、ゴルゴが依頼を遂行したことを新聞記事で読んだ後、自らの手で殺した親友の墓前で自殺してしまう。
バッドエンドとも言える終わり方はゴルゴシリーズらしいのだが、やるせない気持ちになるのも避けられない。本作の見どころは、リチャードから「できるだけ無残な死を」「誰もが無残と思える方法で」と依頼されたゴルゴが、どのようにターゲットの二人を始末するかだ。結果的に二人のターゲットは無残な屍をさらすことになりリチャードの希望は叶えられる。ゴルゴの見事な狙撃は、「こんなやり方があったのか」と思わされる。
読者に想像の余地を残す設定
さて、本作では読者に対して想像の余地を残した設定がある。依頼者であるリチャードがスーダンで家族を皆殺しにされたのは6歳の時。その時に「二つ年下の可愛い妹も、それきり行方が、分からない……」と語っている。
そしてゴルゴが狙撃時に搭乗したヘリコプターの女性パイロットであるマチルダは、孤児となったスーダンで4歳の頃に「私の村が襲われて、家族が皆殺しになりました」とゴルゴに明かしている。どちらもスーダンで生まれて年齢は合っている。果たして二人が兄妹なのか、そうでないのか。リチャードが自殺したことでそれが分かることは永遠にない。もちろんゴルゴが語ることもない。
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研 修治
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