この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第22巻収録。イスラエルの秘密訓練所を壊滅させるため、PFLPが行った決死の作戦「血の砂作戦」を迫力の描写で描く。ベイルート襲撃で大きな戦果をあげたイスラエルは、さらなる被害拡大を狙って特殊部隊を育成。その情報をつかんだPFLPは、ゴルゴとPFLP戦士・ハンナを現地に派遣する……。脚本:K・元美津
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近代史を学べるのもゴルゴの特徴
本作の初出は1973年。ゴルゴに依頼するPFLP(パレスチナ解放人民戦線)にしてもターゲットとなるイスラエル側にしても現在以上にはるかにきな臭い時代だ。そうした近代史を学べるのも『ゴルゴ13』の特徴。
中東を舞台にした話も数多いが本作同様にイスラエルなどがテーマとなった作品には『潜入者の素顔』『THE SILENT ARMY』『生と死を分かつ川』などがある。ゴルゴの活躍とともに中東情勢の移り変わりを勉強してみるのも一興だろう。

香水によるゴルゴならではの推理
さて、仕事の前に女性とベットをともにすることの多いゴルゴ。商売女を買うこともあれば行きずりの女性のことも少なくないが、変わらないのは常にモテること。心底うらやましい限りながら、ゴルゴの真似をしても笑われるだけだ。
本作では娼婦を装ったPFLPの女戦士から思惑をもって声をかけられたところ、香水と彼女の体臭に混じりが無いことを嗅ぎとったゴルゴは、「媚びを売るはずの女が初めて香水をつけたとはどういうことだ…………?」と鋭く指摘する。
後に分かるのは、この時点で彼女が生娘であること。未経験の女性を娼婦に仕立て上げるのは「PFLPさん、無理ですよ」とツッコミたくなるけれども、この後の展開を考えるとさいとうたかを先生の趣向なのかもしれない。
女戦士ハンナの特攻告白にゴルゴは……
イスラエルが建設した訓練所爆破の前夜、女戦士の方からゴルゴに「抱いて」と迫り、あろうことか事後に謝る彼女に対してゴルゴは、「なぜあやまる?」「無理やりおれを初体験の相手にしたことか?」と聞き返している。
ゴルゴが撃つための爆薬を積んだ車を走らせる女とそれを見送るゴルゴ。出会って数日で永遠の別れとなる二人の交わす視線に込められた感情はどんなものだっただろうか。

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研 修治

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