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簡単なあらすじ
SPコミックス第12巻収録。フランスが武器禁輸措置に踏み切ったため、発注済のガンボートを入手できなくなったイスラエル。イスラエル諜報部のダヤンは、ガンボートを入手するため工作員をシェルブールへ派遣。この動きを察知したリビアは7名の腕利き工作員を送り込み、ガンボート奪還を阻止しようとする。脚本:森幸太郎
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実名で登場するのが初期作品の特徴
タイトルの“シェルブール”と聞いて、1964年にフランスで公開されたミュージカル映画の名作『シェルブールの雨傘』を思い出す人もいるだろう。映画はフランス北部にある港町シェルブールを舞台としたミュージカルで、本作もそのシェルブール港が主な舞台になっている。
本作の依頼人は、実在したイスラエル政治家をモデルとしたダヤンだ。眼帯をした外見がそっくりな上、名前もそのままなのは初期作品の特徴のひとつ。いろいろな権利関係を含めて、現在であればまるっとそのまま漫画化するのはあり得ないようだ。

イスラエル諜報部の間抜けぶりに唖然
本作のゴルゴは徹頭徹尾さえない。ただしゴルゴ自身に問題があるのではなく、依頼に同行するイスラエル諜報部の活動が今ひとつなためだ。諜報部メンバーが懸命に捜索するものの、敵メンバーや隠れているはずのアジトすら見つからないどころか、逆に爆弾入りの七面鳥まで送り込まれる始末。
そんな情報不足の中でも飛行機から投下されたカプセルを狙撃し、中の爆弾らしきものに銃弾を当てたのはさすがゴルゴというべきだろう。
珍場面。不完全燃焼のゴルゴ
そのシーンは本作で唯一の見せ場となっているものの、時限爆弾にどこまでダメージを与えたは不明で、「ブイをねらえばよかったか………」と嘆くメンバーに対してゴルゴは、「飛行機をねらったらいちばんよかったんじゃないのか?」と、ここでも齟齬がある様子を描写している。
イスラエル側の作戦がことごとく失敗した後、ゴルゴの狙撃が成功したらしい描写があって物語は終わっている。涙をにじませて感激するイスラエル諜報部メンバーの一方、ゴルゴは無言でタバコを投げ捨てて船内に戻っていく。ゴルゴ本人も「さえない仕事だったな」と思っていそうだ。

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研 修治

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