この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第208巻収録。狙撃不可能といわれる要塞に身を隠す中国の二重スパイが、ゴルゴによって殺害された。偶然、事件に関わったジャーナリストの深沢は、三次元測量データを駆使してゴルゴの狙撃方法を解き明かす。深沢の名探偵ぶりにスポットを当てた一編。
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お馴染み深沢とゴルゴの「腐れ縁」
近年のゴルゴシリーズではお馴染みのジャーナリスト・深沢が今回も登場。『大地動く時』以来、日本を舞台とする話で度々狂言回しを務めている彼だが、編集者から「フカさんが完全に理解してるって事は、読者も皆理解できるって事で」と言われて参っている一幕が可笑しい。
そんな彼だが、本話では最新技術のドローン測量に目をつけ、ゴルゴの狙撃の手口を看破してみせる。一方、ゴルゴとしても、深沢やマッケンジーらが標的の周囲を嗅ぎ回っているのは把握していただろうが、任務の完了後に彼らに手口が割れようと、意に介さずといったところか。
最新技術と凄腕の融合がゴルゴの真骨頂
前年の『ドローン革命』では軍用ドローンに苦しめられたゴルゴだが、本話ではドローンによる三次元測量を早速取り入れ、絶壁の屋敷に籠城する標的の狙撃に活かしている。その方法は、僅かな岩の隙間から射線を確保するというもので、深沢らも驚愕しているように、彼ほどの凄腕でなければ成し得ないものだ。
このように、単に便利なツールを使うだけではなく、それと本人の技量を掛け合わせて困難な状況を覆すのが、ゴルゴの仕事の真骨頂といえる。今後も技術の進歩に応じて、彼はその時々の最新ツールを取り入れ、自らの武器としていくに違いない。
土木業界への緻密な取材によるエピソード
本話のタイトルの「i-Construction」とは、国土交通省が推進するプロジェクトで、測量・施工・検査など建設現場の各プロセスにICT技術を導入し、生産性の向上や労働環境の改善を目指すものである。
こうした専門的な内容をすぐに作品に反映できるのは、多くの取材陣を抱えるさいとうプロならでは。本話の掲載時には、土木学会のSNSでも紹介があった。同じく土木業界への取材を元にしたらしきエピソードには、『日・ASEAN会議』『誰がそれを成し得たのか』などがあり、後者は土木学会の建物や会長も登場して業界内で話題になったそうだ。
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東郷 嘉博
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