この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第7巻収録。IDB(不正ダイヤモンドバイヤー)の台頭による、ダイヤモンド市場の混乱に頭を悩ませるIDSO(国際ダイヤモンド保安機構)は、凄腕の暗殺者兄弟、クリューガー兄弟を雇い、IDBのボス、アドリン・B・カザリアンの抹殺に動き出す。一方、カザリアンは対抗措置としてゴルゴを雇うが、その依頼にはカザリアンの罠が隠されていた……。脚本:K・元美津
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ダイヤモンドも燃やしてしまえばただのガス
美しく見える物の裏側は、必ずしも美しくないものである。多くの女性を虜にして止まないダイヤモンドも例外ではない。「○○のダイヤ」などと貴重なものの表現にもしばしば登場するダイヤモンドを巡っての薄汚い陰謀がテーマかと思いきや、実は「そんなことのために、ここまでやるか」という深い裏があった。
読み終わってみればコロンブスの卵のようなトリックであったが、ダイヤモンドに目がくらまされてしまった。光り輝くダイヤモンドも燃やしてしまえば炭化し二酸化炭素として雲散霧消してしまう。人の所業の虚しさを思う作品であった。
きらめく婚約指輪の裏話
「ダイヤモンドは給料の3ヶ月分が目安です」かつて、女性へ贈る婚約指輪のコマーシャルにこんなセリフがあった。「何を根拠に」と怒る男性諸子もいたが、根拠も何もない。バレンタインデーがチョコレート会社の勝手なイベントであるように、これも宝石商のテキトーな都合である。
冒頭、ダイヤモンド取引について詳細な説明があるが、採掘から研磨、売買を仕切る組織と、密輸組織、その密輸された工業用ダイヤモンドによって旧ソ連の工業生産が支えられていたことなど、とても興味深い。婚約指輪にきらめく光の裏には深い闇が潜んでいる。
男達は赤毛の報復を覚悟せよ
今回ゴルゴの「おもてなし嬢」としては珍しく純情可憐なタイプの女性が登場している。何の因果でこのような場所で働いているのかわからないが、彼に惚れてしまったようだ。「惚れるでない、と言っておきましたのに」と執事がいうが、それができれば世の中苦労はない。
しかし、今一人の女性・赤毛のバージニアの喰ったとばっちりに比べれば彼女の悲しみなどものの数ではない。クリューガー兄弟はもちろん、彼女をあそこまで酷い目に遭わせた人物は、バージニアが待ち受ける地獄で、どのように悲惨な仕打ちを受けるかと思うと背筋が寒くなる。
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野原 圭
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