この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。ディープフェイクを利用し他人の遺産を搾取するなどで私腹を肥やすDeTa社。この事実を内部告発しようとして解雇された有志4人が、ディープフェイク制作の鍵を握る謎の人物「M」の特定と抹殺をゴルゴに依頼する。人気キャラのショーン・鍛冶屋も登場。
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依頼料はクラウドファンディング
本作の依頼料100万ドル(約1億5000万円)はクラウドファンディングで集めた金。IT会社の内部告発がばれた元社員4人が復讐を意図してゴルゴに依頼するのだが、お金の色は気にしないゴルゴであればクラウドファンディングでも問題なさそうだ。
彼ら4人が持つ無邪気さは『情報遊戯』の「NEI(国立経済学院)」のメンバーに似たところがある。しかしNEIのメンバーが最後までゲーム気分でゴルゴを狙ったのに対して、本作の依頼人らはゴルゴに依頼したことを悔やんでいる。その気持ちを忘れない限り長生きできるに違いない。
抜群の信頼を得たショーン
『ホワイトハッカー』で登場して以来、ちょくちょく重要な役割を果たす天才ハッカーのショーン・鍛冶屋。今回は正体不明のターゲットを探すようゴルゴに命じられた。ゴルゴに軽く扱われているシーンがあるものの、無能な人間をゴルゴが相手にするわけもなく、情報分析を中心として欠かせない存在となりつつある。
ターゲットであるMの正体を突き止めきれなかったためか、ショーンは弁護士に成りすましてゴルゴを手伝っている。見方を変えれば便利屋同然ながら、ここまでゴルゴに信頼されているのはデイブ・マッカートニー以来ではないだろうか。
ターゲットをおびき寄せる手口
狙撃が困難な場所にターゲットがいる場合、ゴルゴは手の込んだ手段でターゲットを誘うことがある。『白団回顧録』では入手しづらい熊の手まで素材に使った満漢全席を用意してターゲットをおびき出し、『一年半の蝶』では希少種である蝶のさらに珍しい雌雄同体を放つことでターゲットを一人きりにさせた。
本作ではMが悪用しているディープフェイクを逆手に取る形で、セキュリティーが万全のIT会社から外出させている。サブタイトル“ナザレのM”のナザレはイエス・キリストの故郷だ。Mが生まれ育った町に帰ってきたことを表現しているのだろう。
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2024年9月現在、単行本化はされていません。単行本化までしばらくお待ちください。
研 修治
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