この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第99巻収録。レバノンからのイスラエル軍の撤退を監視するため組織された国連レバノン暫定軍(UNIFIL)。UNIFILが攻撃・反撃の権限を持たないことを逆手にとって、イスラエル国防軍は理不尽な攻撃を繰り返していた。そんななか、UNIFILのコンウェイ曹長は、親友を国防軍司令官のダニエル大佐に殺されてしまう。
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長引くレバノンの混乱
“中東の火薬庫”とも呼ばれるレバノン。『ベイルートVIA』『レバノンの焦躁』でも舞台となるが、2019年に拘留中だったカルロス・ゴーン氏が逃亡した先として知る人も多いだろう。
そんなレバノンで展開するUNIFIL(国連レバノン暫定軍)に自衛隊の西田中尉と外務省の官僚が派遣される。
本作の発表は1992年7月。最後に「過去十三年間の活動における殉職者数は、一八〇人を越えている」とあるが、外務省の発表によれば2019年9月30日時点の犠牲者は316人とのこと。30年足らずで130人以上も増えたようだ。
依頼人の一人はネパール王子?
ゴルゴに依頼を行うには大金が必要だ。UNIFILに派遣されたフィジー軍のコンウェイ曹長曰く、「国(ネパール)に帰れば王子だが、ここじゃあ勇敢な、グルカ兵」のノルプが、「故郷の叔父貴に頼んである!いつでも口座に振り込めるよ」と言っている。
2008年に国民や議会からの圧力によって廃止されたものの、本作が発表された当時のネパールは東京大学に留学経験もあるビレンドラ国王によって立憲君主制が取られていた。
するとノルプはビレンドラ国王の息子なのだろうか。もっともそれらしい人物は見当たらない。架空の王子と思った方が良さそうだ。
成立しなかったゴルゴへの依頼
コンウェイ曹長とノルプの依頼を成し遂げたゴルゴだが、どうやら他にも依頼があったらしい。
というのは、シーア派イスラム主義組織であるヒズボラの指導者らがイスラエルの武装ヘリによって車ごと銃撃されているシーンがあり、その後に待ちぼうけをくらったようなゴルゴが描かれている。
また武器調達人と思しき老人が、「あれはキャンセルだって言ったぜ!依頼人があんな事になっちまって」と言っているためだ。ヒズボラの指導者がターゲットとするならイスラエル軍だろう。すると自称“大物”ダニエル大佐の命運は既に尽きていたようだ。
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研 修治
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