この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第80巻収録。過激派を名乗る三人組により、大学教授の夫妻が誘拐された。二人の友人で上院議員のエドモントンは、自ら身代金を用意して夫妻の救出に向かう。その際、犯人達を狙撃により始末したいと考えたエドモントンは、元SWAT隊員に声をかけるが狙撃の条件が困難だと断られてしまう……。脚本:K・元美津
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「出来ない」と言うのもプロの仕事の内
本話でゴルゴの前座(?)として姿を見せるSWAT出身のスナイパー、ハック・コンラッド。「スズメ蜂のハック」の異名を取るプロフェッショナルの彼だが、依頼の詳細を聞くやいなや、標的二人を同時に射殺するのは無理だとして仕事を断ってしまう。
今回の依頼の難しさを読者に説明するために登場したようなキャラだが、出来ないことを出来ないと言うのもプロの仕事の内だろう。不可能な理由についても十分丁寧に説明しており、プロとしては文句なしの対応と言える。ゴルゴの前では霞んでしまうとはいえ、再登場を望みたくなるキャラだった。
二重弾で二人を同時に倒す神業狙撃
他のプロが匙を投げた「二人の標的の同時狙撃」という注文に、NATO-M198実包という特殊な二重弾を使って応えてみせるゴルゴ。この弾丸は実在し、正式には「NATO 7.62×51mm M198 DUPLEX」という。こちらのリンクで試射の映像が見られるが、二つの弾頭が広範囲に破壊を及ぼすさまが見て取れる。
だが、作中の説明欄にもあるように、この二重弾は普通は弾幕を張る目的で用いられるもの。二つの標的に同時に狙いを付けるなど想定外の使用法のはずだが、あっさり実現してみせるゴルゴの手腕には恐れ入るばかりだ。
存外立派な男だったエドモントン議員
大学教授夫妻の誘拐事件に際し、妻の不倫相手であるエドモントン上院議員が救出に動き出すところから話が始まる本話。「勇ましい発言」が特徴のこの議員だが、会議の場でCIAを罵ったことを後で捜査員に謝ったり、救出作戦の最前線で自らの命を危険に晒したりと、存外、男気のある人物でもある。本話のMVPは彼と言ってもいいだろう。
CIA側も「さて、休暇を楽しむか!」と晴れ晴れとした空気で締めくくられる本話だが、一方で不幸なのは教授夫妻だ。命は助かったとはいえ、妻の不倫が発覚してしまった彼らのその後はどうなったのか……。
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東郷 嘉博
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