この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。政治的メッセージを込めた絵画作品を発信している謎の画家・バーナビー。そのバーナビーがゴルゴに託した仰天の依頼内容とは? 一方、FBIを発信源として広がる米大統領暗殺の噂。時を同じくして大統領演説会場にゴルゴの姿が。バーナビーの依頼とはまさかの……!?
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現代アートの旗手とのコラボレーション
依頼人を神出鬼没のアーティスト・バーナビーと看破したゴルゴだが、バーナビーとはおそらく「バンクシー」を指していると思われる。その存在が実は3人の人物により構成されている、という仮定も面白いし、その中に日本人が含まれているのは嬉しい気がする。
あの出現スタイルやハイテクを駆使してオークション会場で作品を破棄するなど、確かに単独では難しいと思われる。そんなアーティストの我が儘な要求をゴルゴは余裕で受け入れ、むしろ楽しんでいるようにさえ見える。鮮やかに尾行を巻いて目的地に到着したゴルゴが神業狙撃をみせる。
アーティストの新たな表現手法
ゴルゴに芸術家としての才能はあるのか、という疑問がわくかもしれないが、ゴルゴの血を分けた人物『Gの遺伝子』に登場するファネット・ゴベール嬢に絵画やピアノの才能があることを思えば、答えはイエスだろう。
ピアノといえば、最近はyoutubeという表現方法が広がったことにより、よみぃ氏やショパンコンクールに出場した角野隼人氏など必ずしも音大を卒業していなくてもピアニストとして活動の場を得ることができるようになった。ゴルゴも音楽のセンスはありそうだから、覆面スタイルでピアノの腕前を披露してもらいたいものである。
気になる作品のその後
傲慢なプラント大統領が慌てる様子が何とも痛快で、溜飲の下がる結末である。驚くべき斬新なアートのアイデアを思いついたセンスがすばらしい。他の追随を許さない卓越した狙撃技術により、彫刻ならぬ「弾刻」という新たなアートのスタイルを切り開いたゴルゴだが、あの作品の行方が気になる。
話題のバーナビーとゴルゴのコラボレーションだから、オークションにかけたら、さぞや高値がつくと思われるが、全額チャリティーとして使われない限り、作品は、あのバンクシーがシュレッダーにかけたように、おそらく破壊の憂き目をみるだろう。
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野原 圭
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