この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第87巻収録。色仕掛けで機密を盗み出すことを専門とする諜報員・ペーター。彼は西ドイツの外相・ゲンジャーの秘書・ヒルダに接近し、国家首脳の議事録などの入手に成功する。しかしヒルダの父は元情報局員であり、娘の異変に気がついた彼は、ゴルゴにペーターの抹殺を依頼するのだった……。脚本:K・元美津
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ゴルゴ色全開のエピソード
濡れ場が華の『ゴルゴ13』の中でも、本話はピンク度合いが特に突き抜けているエピソード。色仕掛けで女性をオトす「ロメオ」が主題なのだから当然といえば当然だが、女性教官による「実技」テストのシーンなど、設定から台詞から何からゴルゴ色全開で面白い。
「生まれて初めて“割れ目”を見たってわけじゃないでしょう、坊や……」からの「テクニックA、持続力A、そしてサイズは“LL”」! どうだろう、この凄まじい台詞回しのセンス。今回はゴルゴの濡れ場は出てこないが、この教官が彼と一線交えたらどんな評価を下すのか興味深い。
地味な非モテ女子が変貌
「サイズLL」のペーターが作中で相手をするのは、外相秘書のヒルダ。1954年生まれとあるので35~6歳くらいだろうか、地味めの風貌で「男関係は皆無」と断言されている女性だ。
くだんの教官の「近視の女性は性感が強いって言うわよ」という謎のアドバイスはともかく、ペーターは見事に彼女を口説き落とすことに成功するのだが、骨抜きにされたヒルダの溺れぶりが実に凄い。当のペーターをして「雌ブタ」と言わしめるほどの溺れぶりをみせるのである。男と縁遠かった女性ほど、ひとたびハマると一直線ということなのだろうか……。
割と簡単に本性を明かしてしまうロメオ
今回のゴルゴへの依頼は、ヒルダをたぶらかすペーターが「ロメオ」であることを見極めた上で狙撃してほしいというもの。その見立ては難しそうにも思えるが、何のことはない、ペーターは用済みとなったヒルダの前で自ら本性を露わにし、彼女への愛が演技だったことを得意げにまくし立ててしまう。
このペーター、なるほど実技は申し分ないが、神経質で感情を表に出しがちな欠点は作中で一環して描かれていた。スパイだろうとプレイボーイだろうと、せめて最後まで女性を騙しきって別れてほしいものだが、若い彼にそこまでの度量はなかったか……。
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東郷 嘉博
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