この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第147巻収録。マフィアのボス、クレイグは、組織の中にご法度とされているスナッフ・フィルム(殺人の実写映像)で金儲けをしている者がいると聞き、その犯人の抹殺をゴルゴに依頼する。一方、クレイグの用心棒で元プロ・ボクサーのトッドは極度に迷信を恐れる臆病者。ゴルゴはトッドを利用してターゲットを誘い出すが……。脚本:ながいみちのり
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間違っていなかった直観
タイトルの元はギリシャ語で「TRIS」が「3」、「KAI」が接続詞の「と」、「DEKA」が「10」、「PHOBIA」が「恐怖症」を意味している。つまり本作に登場するマフィアの一員であるトッドのように、不吉な13の数字や黒猫が前を横ぎったり夜に口笛を吹いたりするような状況を過度に嫌う人間や行動を指す言葉だ。
街中でゴルゴとすれ違ったトッドは、「凶眼だア」と冷や汗をかいている。他人をにらむ目つきの凶眼(EVIL EYE)は邪眼や魔眼などとも表現される。迷信深いのは考え物ながら、この直観だけは間違っていなかった。
アメリカでのレクサスの価値
乗っていたタクシーの前を黒猫が横ぎったことで遅れてパーティーについたトッド。ボス宅の広い庭に並んだ車を見やって、「ベンツにフェラーリ、レクサス……歩いて来たのは俺くらいか」と車種名を思い浮かべている。
トヨタのレクサスが日本で本格展開されたのは2005年ながら、アメリカでは1989年から売り出されている。本作が発表された2002年にはアメリカでも高級車としてしっかり認識されていた時期だ。それではアメリカを代表する自動車メーカーのフォードやゼネラルモーターズの車に乗るマフィアはいないのだろうか。
大物が持つ独特のこだわり
ゴルゴがヒットマンと知らされたトッドはボスのグレイグが狙われているのではないかと疑うものの、そのグレイグこそがゴルゴの依頼人だったことが最後で明らかにされる。ポルノは許容してもスナッフフィルム(殺人映像)を嫌うグレイグは、「女とはいくら寝ても良いが、母親とはだめだ、という事だな」と表現した。
新たな国家建設を目指す『砂上の帝国』のグラチョフ、派手な幕引きを目指した『死への階』のゼウスなど、独特のこだわりを持った大物マフィアは度々登場する。そのこだわりがあるからこそ高い地位に就けるのかもしれない。
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研 修治
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