この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第210巻収録。ゴルゴvsニンジャの闘いを描く潜入&対決アクション。忍術をベースとした犯罪組織を興さんとする蛭田道心は、日本商社の社員を誘拐し身代金を要求する。蛭田の野望を阻止せんとする師匠・見城は、蛭田部隊の殲滅をゴルゴに依頼する。脚本:品川恵比寿
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別世界との共演を思わせる一大娯楽回
多岐にわたる題材を取り上げてきた『ゴルゴ13』だが、今回の主題は異色の「ニンジャ」。作中でも「映画やアニメの話」と言われているように、別の作品から出てきたかのような古武術道場や海外のニンジャ部隊が物語に絡んでくるさまは、さながら「夢の共演」のごとき面白さがある。
忍者の歴史の説明部分や、依頼人の見城幽斉とゴルゴの立ち回りなどは、『鬼平犯科帳』をはじめ多くの時代劇画も手掛けるさいとう先生ならではの説得力だ。かつての『G線上の狙撃』をさらにパロディしたようなタイトルも目を引く。総じて娯楽性の高い一話といえる。
ゴルゴ対ニンジャ、猛者達の熾烈な一戦
本話の敵役である蛭田は、老体ながら並外れた格闘技術を有する猛者。銃器の使えない落雷地帯という、自身に有利な領域に誘い込む戦略ありきとはいえ、弟子達を一蹴したゴルゴと単身で渡り合ってみせるのは驚愕である。
最後は、ゴルゴが左腕を犠牲にした捨て身の反撃で勝利を収める形となったが、ゴルゴがそこまでしなければ倒せないとは、ニンジャの力とは恐るべしだ。一方、深傷を負って倒れた体勢から、くノ一・楓をクナイの投擲で即座に仕留めるゴルゴの手腕も流石のもの。強者同士の卓越した技量の応酬が存分に味わえるエピソードだった。
世界に知られた現代のニンジャ達
現代のニンジャ達の生き様を描いた、いかにも創作色の強い本話だが、実は全てが荒唐無稽な作り話というわけでもない。本話の見城幽斉のモデルと思われる、戸隠流忍術34代目宗家・初見良昭氏が開いた「武神館」は、国内外に多数の門下生を抱え、世界各国の軍や警察の関係者も教えを受けているという(※)。
忍者物のヒーロー番組の主演俳優が初見氏に弟子入りし、長年の修行を経て35代目宗家を襲名するという、物語のような出来事が話題になったこともある。忍びの術の伝承者達は、今も私達の知らないところで暗躍を続けているのかもしれない。※出典:東洋経済オンライン『忍術道場の「武神館」が外国人を惹きつける理由』(2019年10月18日)
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東郷 嘉博
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