この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第44巻収録。大統領選挙を控えたウルグアイで、最有力候補のマリア・オルコスの暗殺を狙うアメリカ傀儡派は、暗殺者の候補にゴルゴの名を挙げる。が、これには地元の暗殺集団「神の手」が猛反発。
彼らはゴルゴよりも頼りになることをアピールするため、ハーバード卒の色事師・アントニオを呼び寄せ、マリア落選を狙うが……。
はかなく散ったバラの花・マリア
父親が無事に選挙に勝ち、ウルグアイ大統領に就任していたとすれば、マリアは大統領令嬢として世界各国の外交シーンで活躍したであろう。楚々として決して出しゃばらないが芯の強さは感じられるし、親思いという議長の証言もある。
ところが急転直下、父親を殺され、その弔い選挙に出たがために何の落ち度もないのに媚薬で性の奴隷にされた挙句、自らも殺されてしまった。マリアがただただ可哀想なエピソードである。しかも米ソ冷戦のパワーゲームに翻弄された結果に過ぎないのがさらに切ない。大統領令嬢として活躍するマリアを見てみたかったものである。
ハリウッド女優をとりこにした媚薬
今エピソードを語るのにこの話題を避けて通ることはできまい。“媚薬”である。媚薬の詳細は紹介されないが、マリアが飲まされてしまった後の効き目(即効性と強さ)から、恐ろしい威力だ。マンネリ化してしまった夜の営みのアクセントに……というレベルの媚薬ではない。
貞淑そうなマリアに大蛇や○○○犬と戯れさせるほどの威力の媚薬を、男なら一度くらいは使ってみたいものである。情けなくもバカな男心である。その一方で、こんなにも火のついてしまった女性を満足させられる自信がない……というのも男心ではなかろうか。
ラ・マニョ・ディアスの経済性について疑義
ラ・マニョ・ディアスの存在意義の一つに、低コストが挙げられている。ゴルゴのように単価の高いプロにスポット依頼をするとコスト高になるというのだ。しかしながら200人もの殺し屋を編成して、組織を構えるとそちらのほうが高コスト体質になってしまうのではないかと余計な心配が頭をもたげてくる。
仮に安く見積もって200人の殺し屋に毎月20万円払うとすると人件費だけで月間で4千万円、年間で4億8千万円もの固定費が発生してしまう。ゴルゴへの報酬がいかに高いと言っても、これではスポット依頼を掛けるほうが経済的にはお得であろう。
この作品が読める書籍はこちら
片山 恵右
最新記事 by 片山 恵右 (全て見る)
- ゴルゴ13:第211話『AZ4 CP72』のみどころ - 2021年11月14日
- ゴルゴ13:第410話『イリスク浮上せよ』のみどころ - 2021年6月11日
- ゴルゴ13:第283話『未来への遺産』のみどころ - 2021年5月20日