この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第66巻収録。オックスフォードを首席で卒業した天才狙撃手・ドーベルが登場するエピソード。ゴルゴの数十分の一の報酬で依頼を遂行するドーベルを手にいれた国務省は、用済みとなったゴルゴの始末をドーベルに指示する。オリンピックで金メダル確実といわれたカッツとゴルゴの手に汗握る対決!
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あらゆる状況下に対応する男・デューク東郷
本作品はゴルゴ=狙撃手という印象を強く持つ読者にゴルゴの狙撃手としての能力以外の「オールラウンダーぶり」を堪能してもらえる作品に仕上がっている。作業員に扮しての潜入と武器の仕込み、ライバルとの対決、どれをとっても長距離スナイパーのそれとはかけ離れているのが分かるだろう。
オールラウンダーぶりと言えば西部劇のような拳銃の抜き打ち勝負を『インディアン・サマー』で披露し、飛んでくる暗闇から飛来する正確無比なナイフを銃で弾くという芸当を『ラブはナイフ』でやってのけた。それらとはまた違った「意外性」を十分楽しめる作品だ。
「知能」と「狙撃」能力を備えた強敵・カッツ
不遜な態度に軽口、クチャクチャと噛み続けるガム。一見するとただのチンピラにしか見えない男。だがカッツはコンピュータを駆使しゴルゴの狙撃ポイントの絞り込みを行う頭脳派で狙撃可能、不可能なポイントを割り出し自身の待ち伏せするポイントを定めていく。
狙撃不可能なポイントと聞いてピンとくるのは『ROOM・No.909』のエピソードだ。どちらのエピソードも「常人には狙撃不可能なポイント」、が話の重要なファクターである。そして「狙撃」の腕も一流、かつ所持する銃も「狙撃銃」と万全な体制で待ち構える狙撃手カッツ。彼とゴルゴがどのように対峙するのか先の読めない展開の作品であることは間違いない。
なぜゴルゴは「狙撃銃」を持たないのか?
ゴルゴシリーズは“要人の暗殺”というテーマが多いことから、警備が厳重な場所でどのように銃を入手するのか、というのも見どころの一つである。
今回も例に漏れず警備が厳重なJKF空港という空間。「仕込み」はもちろんあったものの空港という厳重な警備の中、ゴルゴはあり得ない方法で銃を手にする。いや、理論的にはできるがその速度が尋常ではないのだ。
愛用の銃「M‐16アーマライト」を手にする過程、その後のライバル・カッツとの意外な対決方法、中盤から後半にかけての激しい疾走感は他の作品にはない魅力である。ちなみにゴルゴが手にする「M‐16アーマライト」。「突撃銃」であり狙撃銃ではない。
なぜそのような「狙撃だけ」ならもっといい銃をゴルゴが「使用しない」のかについては『激突!AK-100 vs M-16』にてゴルゴの名言「俺は……”一人の軍隊”だ」とともに深堀した内容が語られるが、本作品を読み進めることによってその理由の一端を知ることができるだろう。
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小摩木 佑輔
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