この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第149巻収録。ロシア兵器開発局のマカロフは、祖国が誇る最高の突撃銃AK-100を世界に広めようと画策。そこでライバルであるアメリカ製M-16の弱点を露わにし、信用を失墜させるため、M-16を愛用しているゴルゴを利用することを考える。ゴルゴが偽の依頼でおびき出されたのは、細かい砂だらけの圧倒的不利な環境だった……。脚本:品川恵比寿
世界の銃市場にも影響を及ぼすゴルゴ
ゴルゴの愛用銃・M-16について描かれた本話。銃マニアでなくとも分かりやすく面白い作品になっている。M-16と言えばアメリカ軍の正式軍用銃としても有名だ。『傑作・アサルトライフル』などでも他のアサルトライフルと対戦してきたゴルゴだが、今回は自国のアサルトライフルAK-100を世界に広めたいロシア軍と対決する。
その対決の行方をNATO軍、アメリカ軍、さらにはAK-47(AK-100の原型)の生みの親カラシニコフまでもが固唾を飲んで見守るところなど、アサルトライフル市場の天下分け目争いのようで非常に面白い。
熟練の技で弱点をカバー
M-16とAK-100の違いはメンテナンス性の違いである。M-16はかなりの高性能だが、クリーニングというメンテナンスを怠るとたちまちに使用できなくなってしまう。対するAK-100は少しぐらいメンテナンスをしなくても性能が落ちることはない。そんなメンテナンス性の弱点を突く作戦で、砂嵐と塩害を利用しM-16の故障を狙ったロシア軍。
しかしゴルゴはタイヤの圧縮空気を利用することで、あっさりとロシア軍を葬ってしまう。単にクリーニングと言っても、戦いの最中、銃を分解し、クリーニングをするテクニックは、さすがゴルゴと言わざるを得ない。
名言に込められた意味とは
クリーニングをしなければ使用できなくなる致命的な欠陥を抱えたM-16を、なぜゴルゴは使い続けているか。戦いを終えたゴルゴに、カラシニコフが質問するのだが、無言で瞬殺されてしまう。ここでM-16ではなく、ナイフでカラシニコフを殺害する演出がとても素晴らしい。
死に際のカラシニコフに対し、ゴルゴがついにM-16について口を開く。「俺は……一人の軍隊だ」普段ほとんど口を開かないゴルゴだが、その中でも一二を争う名ゼリフかもしれない。そんな名ゼリフの意味も作中で説明されているが、そこは作品を読んで知ってほしい。
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秋山 輝
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