この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第197巻収録。日本の修験者に弟子入りし弱点克服を目指し荒行を積むゴルゴを描く、ギランバレー症候群の克服だけにテーマを絞った異色作。そのゴルゴを監視する中国特殊部隊の影……。名脇役マンディ・ワシントンの再登場など、ギランバレー以外にもみどころ満載の一編。
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ギラン・バレー症候群ではない?
本作は、ゴルゴが修験者に弟子入りして修行する話だ。なぜそのようなことになったのかというと、右手の震えを克服するため。ゴルゴの右手の震えは、長年「ギラン・バレー症候群」が原因とされており、『喪服の似合う時』『キャサワリー』『戦域ミサイル防衛 TMD幻影』『再発ギラン・バレー症候群』などで幾度も描かれている。しかし本作で、ゴルゴの右手の震えはギラン・バレー症候群ではないことが明らかとなる。
ギラン・バレー症候群は、現代では完治する病気で再発もしないのだそうだ。それではなぜ震えるのかというと、原因は交感神経の昂ぶりによるものらしい。これは病気や異常というよりも、通常の人間なら強いストレスにさらされると誰でもそうなってしまう類いのものなのだとか。ただ、ヨガの達人などは交感神経をコントロールできるらしく、ゴルゴはそれを目指して弟子入りしたようだ。
ゴルゴにギャップ萌え
本作では、普段見られないようなゴルゴの姿がいくつも出てくる。ゴルゴが土下座をする姿など、もう二度とないのではないか。修行中のゴルゴも、普段のような自信に満ちあふれた姿ではなく、どこかオドオドとしており、かわいらしさすら感じる。
修行中とはいえ、いつものように360度にわたって警戒を怠らないゴルゴに対して、師の実雲は「心眼の開かぬ外道めっ」と背後から杖で容赦なく叩く。背後からいとも簡単に殴打されるゴルゴの姿も、ファンからするとかなり違和感があるが、普段とのギャップがたまらないのも確かだ。このようなゴルゴの貴重な姿を拝める作品なので、ぜひ一度読んでみてほしい。
ゴルゴと「道」
苦しい修行の末にゴルゴは菩提の境地へと達した。「我、成ぜり」との言葉とともに、阿修羅のゴルゴが戻ってきた。いよいよ神に近い領域にまで進化してしまったといえるだろう。本作ではゴルゴについて面白い示唆がなされている。ゴルゴは「道」の探求者なのではないかと。
なるほど、たしかに彼のあまりにもストイックな生き方は、まさに「道」だろう。そんなゴルゴにとって修験道で自らを克服することは、避けることができない道のりだったのかもしれない。今後はどのような「道」を歩んでいくのだろうか。
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秋山 輝
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