この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第155巻収録。ゴルゴの持病であるギランバレー症候群が再発する一編。フィリピンの山岳地帯で民兵組織のボスを始末したゴルゴだったが、残った民兵の追撃を受け応戦を余儀なくされる。そして投げつけられた手榴弾を打ち落とそうとした瞬間、右手が動かなくなったゴルゴは、そのまま手榴弾の爆発で重傷を負ってしまい……。手負いのゴルゴ、形勢逆転なるか? 脚本:ながいみちのり
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ギランバレー症候群にまつわるあれこれ
『喪服の似合うとき』に原因不明の筋力低下を発症(病名不特定)してから、ゴルゴの唯一の弱点とも呼べる持病”ギランバレー症候群”。シリーズ内で幾度となく描かれるものの、実は確たる診断はついていない。ところが、今エピソードではゴルゴ自身が『……ギランバレー症候群……』と認識していることがわかる。
しかし後のエピソード『震える修験者』では”ギランバレー症候群ではない”とされた上に、修験道の修行で原因不明の筋力低下を精神力で克服するという思いもよらない発展をする。……もうゴルゴに死角はない。

刮目!ゴルゴのアドリブ能力
チンピラに毛が生えたような組織のボスを狙撃するという楽な仕事なはずの仕事が、突発的なギランバレー症候群の発症で一転ピンチに。しかしゴルゴはこのピンチを冷静沈着に切り抜ける。ゴルゴのアドリブ能力の高さは車のマフラーに釘を詰め込みバックファイアーで即席の散弾銃にする『ゼロの反撃』や、飛行中のジェット機の主翼で爆弾を無力化する『高度7000メートル』などでも実証済みだ。
本作でも環境や手に入るものでその場を凌ぐアドリブ能力が遺憾無く発揮され、さすがゴルゴと唸らされる。ゴルゴに匹敵する能力を持つとされた敵方がこれまでに何人も登場したが、彼らとの決定的な違いはこのアドリブ能力であろう。
バットアグノまで武器になるとは
コウモリの糞(バットアグノ)は堆積すると肥料になるほどリンが豊富な成分である。ゴルゴはバットアグノを硫黄と混ぜて燃焼させることで硫化水素を発生させたと思われる。硫化水素は作中の解説にもあるように催涙ガスに似た危険なガスだ。
しかも比重が重く、山の下から向かってくる敵に対して自然に作用してくれる。環境、装備、彼我の位置関係からとっさに打開策を思いつき、最後のピースであるバットアグノでパズルを完成させるゴルゴに敬服する。バットアグノ同様、鳥の糞の堆積がリン鉱石になることは『サンクチュアリ』で知ることもできる

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片山 恵右

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