この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第134巻収録。コロンビアからアメリカへと向かう旅客機がハイジャックされた。犯人の目的はブラジルのカソリック教会から発生した「踊る神父」だった。彼らは親しみやすい讃美歌で大衆の心を掴んだ人気者だったが、犯人は神父のなかの一人、ミゲル神父に恨みがあったのだった。偶然、この機に乗り合わせたゴルゴの出方は……? 脚本:夏緑
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きっと偶然ではない
1959年にこのエピソードと同名の日本映画が公開されている。こちらの映画も殺人犯が飛行機に乗り込み、乗客を危機に陥れるものの、冷静沈着な機長の作戦によって無事犯人を捕らえるというあらすじだ。実はこの映画、主演が名優高倉健なのだ。
ゴルゴのモデルが30代半ばの高倉健であることはファン諸兄ならよくご存じかと思う。映画の方の高度7000米は高倉氏が20代のころの作品ではあるが、きっとさいとう氏やゴルゴチームは知っていてこのエピソードにこのタイトルをつけたのだろうと思う。
人間離れしているからこその饒舌
このエピソードではゴルゴが驚くほどセリフを話す。もちろん無駄口を叩いているわけではなく、作戦をクルー達に説明するためではある。しかし普段を思えば本当に口数が多い。このエピソードでゴルゴは狙撃を依頼されたのではなく、偶然乗り合わせた飛行機で事件に巻き込まれている。
つまり、ゴルゴが神業を持つスナイパーだと知っている人間は登場しない。他のエピソードではゴルゴの行動の理由を他のキャラが推測し語ってくれるが、今回はそうもいかないのだ。
もうひとつのイレギュラー
ゴルゴがよく喋る他に、このエピソードの特徴としてゴルゴが狙撃をしないという点がある。狙撃をしないどころか、銃を握るシーンすら出て来ないのだ。ゴルゴの鍛えあげられた肉体と超人的な冷静さ、豊富な知識でミッションをクリアしているので、もちろんこれもゴルゴならではというエピソードではある。
ただ、珍しいことには変わりがない。アクションも派手ではないので、話題に上りにくいエピソードかもしれないが、繰り返し読むほど面白みが判る回ではないだろうか。
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大科 友美
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