この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第137巻収録。欧州諸国が中心となって進めている、シンクロトロン(粒子加速器)「BESSY-1」の中東譲渡計画。しかし、その流れに反対の姿勢をとっていたアメリカが、計画の妨害を企てる。NSAの技術者・コープに騙されて、この事実を知ったモサドの情報官・ハラクは、報復のため立ち上がるのだった……。
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ゴルゴとシンクロトロンのリアリティ
シンクロトロンは実在の実験設備である。日本にもいくつかあり、現代ではシンクロトロンを用いて重粒子を加速させ、ガンの治療を行える施設もある。しかし現代でも一般には耳馴染みは薄いように思う。
このエピソードが公開された当時ならなおのことだろう。対してゴルゴは創作の中のキャラクターに過ぎないが、広く知られている。キャラもストーリーも架空でしかないが、ゴルゴ13には不思議なリアリティがある。
リアリティの薄さは印象の薄さ?
このエピソードは、核兵器を絡めていたり、愛国心にあふれたモサド(イスラエル諜報特務局)のスパイが登場したり、何よりゴルゴのスーパーショットが見られたりと、ゴルゴ13らしさが濃く描かれたエピソードだ。
しかしその割に印象の薄いエピソードではある。想像にすぎないが、エピソードの芯となるシンクロトロンというものが読者にとって馴染みが薄く、エピソード自体への没入感を得られにくくなっているのではと思う。
欲を言えばキリがないものの
今回ゴルゴは天体観測に用いる電波望遠鏡のパラボラアンテナでミラクルショットを成功させている。欲を言えば、せっかくシンクロトロンという装置を軸にしているのだから、シンクロトロン自体の特徴を活かした狙撃を見たかった。
もちろん私のような凡百ではどのような狙撃かというのは浮かばないのだが、ゴルゴ13の原作陣やさいとうプロの発想を持ってすれば可能だったのでは…と考えずにはいられないのだ。
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大科 友美
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