この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第211巻収録。メキシコシティの空港で日本の旅客機が滑走路をオーバーランする事件が発生。現場を担当したメキシコ通信社の梶本は、事故の混乱の中、日系人の乗客が消えたという情報をキャッチする。一方、旅客機の車輪からは狙撃らしき破損が発見されるが……。
スポンサーリンク
オーバーラン事故を追う梶本の意外な学歴
お馴染み梶本記者を狂言回しとして、旅客機のオーバーラン事故の真相に迫る本話。何気に、梶本が現実の京都大学にあたる「吉田山大学」の出身であることも判明するが、だからといって切れ者キャラに転じる訳でもなく、例によってゴルゴの影に震え上がる役回りとなっている。
なお、運輸安全委員会の公表によれば、日本の航空事故及び航空重大インシデントは、合わせて年間20~30数件のペースで発生している。作中でも「G狙撃から数か月後」とあるように、調査完了までは半年~一年程の時間を要することも珍しくなく、調査官は日々大忙しといえるだろう。
死装束に身を包んだヤマモトの覚悟
身内の復讐をゴルゴに託す者は多いが、本話の依頼人であるヤマモトの宿願は、ゴルゴの狙撃によるオーバーランに乗じてメキシコに密入国し、自ら敵への復讐を果たすというもの。結局、標的は別件でゴルゴが仕留めてしまうのだが、仇討ちを他人に委ねたくないというのは、日本男児の心意気として理解できないでもない。
しかし、そんな彼を死なせたくないというニューマンの思いも虚しく、ヤマモトは割腹自殺を遂げてしまう。「日本人の俺でもわからねえっ!」という梶本の絶叫はもっともだが、死を決した彼には最早引き返す道はなかったのだろう……。
二つの依頼の関係を察していたゴルゴ
本話のゴルゴは、ニューマンからマルケスの狙撃を依頼されるにあたり、ヤマモトの依頼との関係を問い質すという珍しい態度を見せている。普段のゴルゴなら、類似の依頼を重複して受けても互いの秘密は漏らさないはずだが、今回はニューマンと会う前にその周囲を調べ、ヤマモトとの繋がりも把握済だったということだろう。
ヤマモトの身を案じるニューマンに、「奴が死にたがっているのなら……そうさせてやったらどうなんだ?」と口を出す一幕も印象的。この時点でゴルゴには、ヤマモトの暴走を止めても意味がないことは分かっていたのかもしれない。
この作品が読める書籍はこちら
東郷 嘉博
最新記事 by 東郷 嘉博 (全て見る)
- ゴルゴ13:第536話『神の鉄槌』のみどころ - 2024年9月19日
- ゴルゴ13:第552話『受難の帰日』のみどころ - 2024年9月19日
- ゴルゴ13:第535話『森と湖の国の銃』のみどころ - 2024年9月19日