この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第38巻収録。ユーゴスラビアの要人暗殺を完遂したゴルゴは、軍隊の追跡をうけ車ごと崖下へ転落してしまう。何とか生き延びたゴルゴは逃走を続けるが、途中、不気味な村へと迷い込む。村人から意味不明の総攻撃をうけるゴルゴ。じつはこの村、悪魔信仰に取り付かれた狂人たちが暮らす秘境だったのだ……。脚本:外浦吾郎
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真夏におすすめの怪談バージョン
シリーズ異色のオカルト・ホラー編である。『地図無き悪霊の森』など、一見オカルト風でも実はウラがあった、という筋の作品はあるが、これは本当に怖い話だ。冒頭、ミッション遂行後に追われるゴルゴ。いつもながら緻密な車の描写と臨場感あふれるカーアクションにワクワクしたところで、ゴルゴのフェラーリがクラッシュする。
このまま死ぬはずはないが、ゴルゴの運命はどうなるのか、修羅場をくぐってきた諜報員が上司の命令に背いて立ち入りを拒否する恐ろしい村の正体とは。この世で一番怖い生物は人間であることを示す作品である。
集団に襲われる恐怖
最近、里山で猿の集団が農作物を荒らす被害が増えている。その対策として、モンキードッグという、訓練した犬で猿を追いはらう方法が採られている。犬猿の仲とはよく言ったもので、かなり有効な方法であるが、飼い主の合図で必ず戻ってくるように訓練しなければならない。
山の中へ猿を深追いしすぎて集団に襲われると、仮に無事戻ってきても猿への恐怖でモンキードッグとしては2度と機能しなくなるからだ。さすがのゴルゴも「村人を相手にするにはタマが足りない」と言っているが、何の準備もなく多勢に無勢では勝ち目は薄いだろう。
恐ろしき集団催眠現象
集団催眠はしばしばカルト教団によって利用されるが、人間の脳とは実に不可思議な働きをすると実感した。ゴルゴが、冒頭高級車フェラーリに乗って登場した後、扉に十字架とニンニクを掲げた家を訪ね、弓で始末をつけ、最後は馬の背に乗って去る姿に、同じ時間軸に想像もつかない世界が存在するという事実が象徴されている。
ラストで、珍しく人助けをしたのかと思ったら国境越えに協力させるためだった。でも国境直前で「このままずっと夫婦でいてくれなければ協力しない」と彼女に迫られたらどうするつもりだろう。ゴルゴの受難は続く
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野原 圭
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